バイブルソムリエ

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「包摂的一神教」

               「包摂的一神教」  2017・3・22
             バイブル・ソムリエ    亀井俊博
       
               排除・包摂の復習   
 以前のブログで、「排除、包摂」について書きました。これは最近の社会福祉の理念だと言う事ですが、もっと拡大した考えを書きました。今日はさらに次元を深化したいと思います。社会福祉の理念として、社会的弱者の排除から包摂へのシフトは当然です。しかし生物としての次元では、自己を侵食、抹殺しようとするものには、免疫機能が働いて自己と、非自己を判別して、非自己を排除するのです。この排除機能が異常をきたすと自己を非自己と認識して攻撃する、免疫不全症の恐ろしさです。ですから、自己を破壊するものへの排除機能は重要です。しかし、同時に生物は、他者との棲み分け共生関係にあり、その意味で包摂関係も重要です。このバランスをホメオスタシス(恒常性維持機能)が絶妙にとっている、と言うのが前回の要旨でした。この論に立って、ソムリエは人間社会にも応用すべき事を考えています。この事をイエス様も「自分自身を愛するように、他人を愛しなさい。」と見事に教えられました。
              日本人の本音
 ところで、日本社会は寛容で、まさに包摂的精神だ。あらゆる文化が取り入れられ、料理でも和食はもちろん、中華、フランス、イタリヤ、韓国、タイ・・本場より日本で食べる方が美味いと定評です。また、宗教でもクリスマスはキリスト教、除夜はお寺、初詣は神社、結婚式はキリスト教式、七五三は神社、葬式は仏式、と諸宗教を包摂し取り入れ仲良くやって、なんら不都合を感じていない。やはり八百万の神々が平和包摂共存する、多神教社会の強みではないか。それに比べて、一神教社会は排除的非寛容ではないか。ヤハウエの神を奉じるユダヤ教イスラエルとアッラーの神を信じるイスラム教諸国はいつもいがみ合っており、トランプ大統領がアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移し、パレスチナ国家とイスラエルの二国家並立政策をトランプは無視し、イスラエルの入植地占領を黙認する。そんな事になればミサイルや核戦争の第五次パレスチナ戦争の危機さえ起こりうる。また、キリスト教右翼の支持するトランプは、大統領令でアメリカのイスラム教排除を政策にしている。一神教が互いに排除し合い三つ巴になって争っている。いったいどうなっているのか。なにせ、うかつな事を言うとテロをしかけられかねないので黙っているが、一神教は付き合いにくい、触らぬ神に祟りなしで行こう、と思っているのが日本人の本音ではないでしょうか。
              日本人の誤解
 しかし、歴史に照らしてみて多神教が包摂的・寛容と言うのは間違っています。第二次大戦の時、神社をアジア各地に建て、強制参拝させた史実がある。国内でも一部キリスト教徒が迫害殉教の憂き目にあった。つまり天皇とキリストとどちらが偉いかなどと、それこそ遠藤周作原作、スコセッシ監督の映画「沈黙」の世界に登場する「踏み絵」があり、キリスト信仰を貫いた者は社会から排除され、職を追われ、投獄され殉教した者もいます。つい70年前の事です。我々は歴史健忘症でそんな事すっかり忘れていますが、やられたアジア諸国は「多神教」は怖いと思っています。日本の侵略の罪は赦せ、しかし忘れるな、が合言葉です。中国・韓国はいつまでもしつこい、と嘆くのですが、逆の身になる必要があります。さらに、現今の神道連盟の構成する「日本会議」会員の「瑞穂の国記念、小学院」の幼稚園児に“中国人、韓国人・・・”と唱えさせるビデオシーンを見ると、排除的国家神道の悪夢再来で背筋が凍ります。こんな恐ろしいレイシズム的ヘイトスピーチ教育が、「八百万の神々」教育の実態なんですよ。多神教は包摂的・寛容の主張は、現実を見て無理筋です。畏友奥野泰孝さんから「日の丸、君が代訴訟」のリポートが届き、公教育の現場で、国家権力の意に従わない良心的教育者への激しい排除が行われている現実を知るのです。
              一神教トリレンマ
 それに対して、一神教は唯一の神が世界を創造した。人間もアダム・エバの子孫であり、皆兄弟姉妹だと言う。普遍的、グローバルな包摂的世界観なのです。天照大神が日本を作った、と言う、日本だけで通用するローカルな排除的民族神とは訳が違うのです。また科学技術も、唯一の神が創造した、唯一の自然法則が宇宙の果てまで通用する、と言う一神教ドクトリンがあればこそ、成り立っているのは自明です。また近代民主主義、資本主義も一神教キリスト教文明から始まり、今やグローバルな価値となっているのです。一神教抜きに世界は語れません。では、先に述べた一神教の矛盾、排除的三つ巴の争いトリレンマはどうすればよいのか。ソムリエはここに、日本の宗教思想家の貢献があると思うのです。
             排除・包摂思想の深化
 それが、哲学者西田幾多郎の死の直前の著作、遺書ともいうべき「場所的論理と宗教的世界観」の思想です。彼は第二次大戦の悲劇を見据え、その終わった後の世界に思いをはせ、これからの人類への希望を述べているのです。「世界の実相は、無機物も生物も人間も個物(人)と個物(人)が対立し、それぞれが自己主張し他を否定しようとする絶対矛盾(パラドックス)の世界である。しかも相対立するもの全てが一なる世界の中に存在させられている場としての世界です」。さらに「絶対の神は自己自身の中に絶対の否定を抱く神でなければならない。極悪にまで下り得る神でなければならない。悪逆無道を救う神にして、真に徹底した神である。絶対のアガペは、絶対の悪人にまで及ばなければならない。自己自身に反するものを包むのが絶対の愛である。神は愛である。」と西田は説く。日本最高の哲学は、遂にここまで到達した。禅体験から出発した西田は、バイブルを読み、神の愛に触れ、西田神学とも言うべき境地にまで達した。絶対と絶対が対立(排除)すれば結局相対となる。だから真の絶対は、対立を超越(包摂)するものなのだと言う。これは既存の西欧一神教世界の知らない論理なのです。ここに西田の一神教相互の争いへの解決の道筋が示されています。しかし問題は、その神が「絶対無」の場であると言う事です。それでは神は無であり、自己に逆らうものを包んでも何ら傷つくことは無い。しかしバイブルの神は「絶対有(ハーヤー(ヘブル語)、あらしめてある(山田晶訳):ハーヤーの三人称男性未完了使役形がヤハウエ、詳しくは拙著「まれびとイエスの神」講話)」であり、自己に逆らうものを包むとき自身が傷つく犠牲の愛なる神なのです。十字架に血を流す神なのです。ここに多神教的な日本思想の転回(コンバージョン)と、既成の一神教の西田による転回が同時に必要なのです。ここに日本多神教、一神教トリレンマの両問題が解決する道、排除する者をも包摂する「絶対的包摂的(ハヤトロギア的、有賀鉄太郎)一神教」があるのです。日本的キリスト教の世界への貢献なのです。
 さらに、深化させるなら、愛は理屈を超えて実践で示す以外にないのです。律法学者の「隣人とは誰か?」との問いに、良きサマリヤ人のたとえをイエス様は語られ、誰が真の隣人になったか?と問い返された。傷ついた旅人を助けた良きサマリヤ人です、と答えた律法学者に対して、イエス様は「あなたも行って同じようにしなさい。」と言われた、様に。
                         「西宮北口聖書集会」
☆「アルファ新書シリーズ」ホームページhttp://alpha-shinsho.jimdo.com/
☆pp「まれびとイエスの神」講話 第一回(紹介)
ユーチューブ                 http://youtu.be/nxNTJQK-GA8
☆日曜聖書集会プログラム(賛美、聖書の学び、感想の語り合い)
☆とき(2017年3月26日、日曜聖書集会、日曜日10:15am)
☆ところ(アクタ西宮東館6F、阪急西宮北口駅徒歩3分)
☆講師(菅原喜久、西宮北口聖書集会主任牧師)
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☆問い合わせ 0798−64−8150
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(1)「1デナリと5タラントの物語」説教集(500円) 
(2)「人生の味わいフルコース」キリスト教入門エッセイ(500円)
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(4)「モダニテイー近代民主主義、近代資本主義とキリスト教」講話(1,000円)
(5)「まれびとイエスの神」講話(人称関係の神学物語)(2,000円)
                                      



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