阪急沿線文学散歩

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神戸女学院モーゼス・スミス記念講堂

 音楽館から更に丘陵を登るとロータリーがあり、たどり着くと丁度中学部か高等学部の月曜の朝礼が終わったのでしょうか、モーゼス・スミス記念講堂から生徒達が大勢出てくるところでした。



 アプローチから導かれる広場に面して建つモーゼス・スミス記念講堂、清楚なアイボリーホワイトの妻壁と、三対の二連アーチ窓、入り口上部の大きな庇など、格調高く調和した正面を構成しています。



 講堂のホールに入ると、既にクリスマスツリーが飾られており、学院標語の「愛神愛隣」が掲げられていました。
いよいよ講堂の中に入ります。



 講堂は八百席余りを有し、演壇をよぎる半円形のステージアーチと両脇の大きな透かし模様、側壁の長大なアーチ窓がよくデザインされています。



 窓の間には大きなクリスマスリースが飾られています。
講堂での集会の写真がありました。



 野坂昭如も1971年の学園祭で、この荘厳な雰囲気の講堂で講演をしたのですが、その傑作な様子が「凶乱旅枕」に書かれています。
保坂庄助(野坂昭如の小説中の名前)は控え室に通され、委員の一人から「超満員です。昨日の倍くらいはいっています」と報告されますが、舞台袖のカーテンから覗くと、上の写真とは大違い、客席はほとんど男ばかりで、思惑がまったく外れてしまいます。
 呆然たるうち、司会者の言葉が終わり、とにかくよろめき歩いて壇につくと、大きな聖書が置いてある、庄助なにやらとてつもない悪意に翻弄されているような気がして、向かっ腹が立ち、「ぼくはR女子大生のために、はるばるやって来たのであって、男子学生にしゃべる気は毛頭ない」とたんに「ケッコウ」と野次がとぶ、「大体、女子大の学園祭にうれしがってやってくるなど、もてない奴にきまっている」
と言われて野坂は逆上します。そのままかみあわない討論になってしまい、ふと見ると、前列中央に五人女子大生がいて、中の一人が抜きん出た美女であることに気づきます。
 美女にハンドマイク差し出し、「何かいうことありませんか」たずねると、打てばひびくで、「保坂さんて、思ったより薄っぺらな方ですね」表情一つ動かさずいって、満場爆笑、庄助また逆上する。
このあと、妻に知られれば「あんた、うれしそうに女子大へ出かけて、何しゃべってきたの?」ヒステリー起こすかも知れぬ。と心配になります。
最後は
 もう一度「薄っぺらな方ね」という、凛然とした声音を耳にしたいのだ、あの美女にまといつき、さらに手ひどい軽蔑を受けたい、俺はひょっとして、R女子大にまたでむくのではないか
とマゾヒスティックな思いでこの短編は終わるのですが、本当に再び1974年に神戸女学院で野坂昭如オン・ステージを開演することになるのです。


 




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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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