阪急沿線文学散歩

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芦屋マリーナが見える談話室で『木を植えた人』の読書会

 幸運にも『海の向こうに本を届ける』の著者栗田明子さんを囲む読書会に参加させていただきました。

場所は芦屋マリーナを見下ろす談話室、天気も良く大阪湾が見晴らせました。


 今回のテキストはジャン・ジオノの『木を植えた人』。

 フランスの山岳地帯にただ一人とどまり、希望の実を植え続け、荒れ地から森を蘇えらせた孤高の人の物語。ひたすら無私に、しかも何の見返りも求めず、荘厳ともいえるこの仕事を成しとげた老農夫、エルゼアール・ブフィエの半生が描かれています。

 元々は1953年に『リーダーズダイジェスト』誌が「あなたがこれまで会ったことがある、最も並外れた、最も忘れ難い人物」というテーマで執筆依頼したものですが、ジオノが描いたエルゼアール・ブフィエは実在の人物ではなく、そのことを村まで来て調べて知った『リーダーズダイジェスト』誌は掲載を拒否します。そこで、ジオノは著作権を放棄し、この物語を公開し、世界に広まったものです。

 フィクションとは言え人間の尊厳を改めて考えさせる人間賛歌でもあり、人々を感動させるだけでなく森林復興への具体的な行動に立ち上がらせました。ジオノは時代の趨勢に逆らい続けた自然思想家でもあり、亡くなった後もジオノの思想の実現に人々を動かした作品です。


 読書会の最後に栗田さんが、1994年に「こぐま社」からの日本語版の出版の交渉にプロヴァンスのジオノの資料館となっている旧居を訪れ、ジオノの次女のシルビアさんとお会いした時のお話などを伺うことができました。

ジオノの書斎。

ジオノと次女のシルビアさん。

1994年の訪問時の写真。


 1987年には、ジオノの小説を原作として、カナダのアニメーション作家フレデリック・バック監督・脚本で同名の短編アニメ "L'Homme qui plantait des arbres" が発表され、’87アカデミー賞短編映画賞を受賞しています。

そしてフレデリック・バックのアニメーションが放映されたカナダでは一大植樹運動がまき起こり、年間3000万本だったものがその年一挙に2億5000万本に達したそうです。


 また東京大学文学部仏文科卒でアニメ『火垂るの墓』や『かぐや姫の物語』などの監督として著名な高畑勲は『木を植えた男を読む』と題して、自ら翻訳、解説し、最後にはフレデリック・バックとの対談を掲載しています。


 バック監督のフランス語アニメーションは全編30分YOUTUBEでみることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=7Rn6trL3-54&vl=ja


日本語訳はコンピューターによるものなのか、ほとんど意味不明の文章になっていますので、本を読んでからご覧ください。

ご覧いただくとわかりますが、このアニメーションは手法も根底に流れるテーマも高畑勲監督の『かぐや姫の物語』に大きな影響を与えたと思われます。

 ジオノの『木を植えた人』は短編ですが、世界中の人々に感動を与えた作品です。





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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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