阪急沿線文学散歩

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そうか、住金の名前が消えるのか。

 先日、「新日鉄住金」が来年4月1日に社名を「日本製鉄」に変更するというニュースが流れ、山崎豊子さんが山陽特殊鋼や新日鉄に取材された『華麗なる一族』、『大地の子』などを思い出しておりました。


『華麗なる一族』の万俵鉄平は東大卒の阪神特殊製鋼(モデルは山陽特殊鋼)専務で、帝国製鉄(モデルは八幡製鉄、後の新日鉄住金)からの銑鉄と呼ぶ原料供給に頼る不安定さを克服するため、高炉建設を強硬に進めた人物。


 最初の映画で万俵鉄平を演じたのは仲代達矢、最後のテレビドラマでは木村拓哉が演じました。

 
 戦後の川崎製鉄や住友金属にとって高炉建設は悲願でした。万俵鉄平はそれを実現した人物がモデルだろうと推測し、私はきっと川崎製鉄の初代社長西山弥太郎だと信じていましたが、実は元住友金属社長の日向方斎氏だったのです。

『大阪づくし私の産声山崎豊子自作を語る2 (山崎豊子自作を語る 2)』からです。
<小説の副主人公である万俵鉄平の人間づくりのために、鉄鋼会社の経営者の中で、“鉄鋼マン”以外の何ものでもないない人物像をと、二、三人の経済記者の方に推挙していただくと、異口同音、住友金属社長、日向方斎という名前が撥ねかえって来た。> 

<初対面の日向氏の印象は戦国の武将のようなお名前に似ず、小柄、温顔であったが、一度、鉄鋼の話になると、烈々たる様相を帯びてくる。高炉を建てるために世銀へ借款に行き、半年もニューヨークの街をさまよわれた時の話から、鹿島一号高炉着工の時の感激に至るまで話され、「今、一番なさりたいことは?」と尋ねると、「鹿島二号高炉を建てたいことです」、一言そう答えられた。>

<この日向氏の齢を若くし、体躯を大きくし、精悍な顔つきにすると、小説のなかの万俵鉄平という鉄に生き、鉄に死んで行った一人の鉄鋼マンの人間像が出来上がる。人間を書くこと、人間臭さが大好きな私は、こうして絶えず、強烈な個性を持った人に接し、そこから小説の人物を創り出すのである。>

 さて新日鉄に対抗してきた住友金属工業が経営統合し、新日鉄住金が発足したのは2012年のこと。初代社長に住金から、私も存じ上げている友野宏氏がなられたときは驚きました。

 その住金の名前が消え、阪神特殊鋼のモデルとなった山陽特殊鋼の子会社化も検討されていると聞き、元鉄鋼マンの一人として、大きな時代の流れを感ぜざるをえません。

それにしても、経営統合では、そこで働いている一人一人に、小説以上の物語が生まれるというのが実感です。




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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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