山口を歩く

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山本周五郎著「町奉行日記」

 

 山本周五郎著「町奉行日記」を読んだ。昭和15年から昭和35年の20年間に執筆された時代小説10編を納めた短編集である。太平洋戦争開戦前夜から敗戦から高度成長期に至る激動の時代の執筆である。激動期のそれぞれの時代背景を反映しながらどの時代にも通じる普遍の「人の情」を描いている。とりわけ「土佐の国柱」「晩秋」「落ち梅記」「法師川八景」などの短編に心魅かれた。
 情の奥行きの深さやきめ細かさという点では個人的には藤沢周平の時代小説に及ばないと思う。それでも激動の時代に動じることなく確固たる姿勢で作品を紡ぎ続けた大家の物語に襟をただす思いがよぎった。

 

 




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 読んでいると江戸時代にタイムスリップできます☆彡

[ モンセ分店薬局 薬剤師徒然日記 ] 2018/04/04 18:11:08 [ 削除 ] [ 通報 ]

加齢とともに江戸時代の良さがしみじみと味わえるようになりました。

[ 明日香 亮 ] 2018/04/06 7:23:03 [ 削除 ] [ 通報 ]

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本田一成著「オルグ!オルグ!オルグ!」

 昨年、2回に渡って本田一成國學院大學経済学部教授のインタビューを受けた。我が国のチェーンストアの労使関係についての研究者で1970年代から1980年代のチェーンストア労働界や出身労組の動向についての取材だった。同様にチェーンストアの主要な労組の取材もほぼ完了しているようだった。
 このほどそれらの取材結果の集大成が「オルグ!オルグ!オルグ!」というタイトルで発刊され、取材対象である私に送付されてきた。 360頁にも及ぶチェーンストア労働運動史の金字塔ともいうべき労作である。しかも堅苦しい学術的な記述でなく人物描写を中心とした読み物風の記述で一気に読者を引きこむ著作である。手にとりさえすれば多くの読者を引き付けるに違いない。記述のスタンスも著者の独自の視点を堅持しながら努めて客観性を重視したもので、チェーンストア労働運動の歴史や流れを理解し、主要労組の結成の背景・経過を端的に把握できる。
 とりわけ私の出身労組に関する部分は、労組結成の中軸を担った私についての記述を中心に結成当時の想いやチェーンストア労働運動への関わり方や立ち位置が踏み込んだ形で見事に描写されている。(私に対する過度な評価におもばゆい面もあるが・・・)
 後輩たちにもぜひ読んでもらいたい著作である。

 



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山本周五郎著「小説・日本婦道記」

 読みたい本が見当たらなくなっても、永年の日々の読書習慣はおいそれとはやめられない。もっぱら書棚にある蔵書の再読で過ごしている。その再読も好きな作家の作品は読み尽して今は山本周五郎作品を手にしている。その再読二作目が「小説・日本婦道記」である。
 この作品は昭和17年から昭和21年にわたって執筆された31編の読切連作のうち作者自身が選定した自信作のようだ。軍国主義が跋扈した当時の時代背景からすればこの時期に執筆できる作品の主題は限りなく限定されたことは容易に推測できる。その限定された主題をもとに尚質の高い作品を描くとすればどのようなものに仕上がるのか。
 一連の作品の主題は武家社会の掟の中で夫や子のために全身全霊で生き抜いた妻や母の物語である。見方によっては男社会にひたすら従順な生き方を礼賛する封建思想そのもとも言える。それでも作品に込められた主人公たちのすがすがしさ、強靭さ、矜持、哀しさはまぶしく輝いている。
 狭いストライクゾーンに見事に次々と投げ込んでくるストライクボールを唖然として見つめるばかりだ。

 



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山本周五郎著「日日平安」

 早朝6時頃の散歩の最後にモーニングコーヒーを飲むのも日課のひとつである。マクドナルドの開店時間が7時に繰り下げられてから行きづらくなった。やむなく最近はセブンイレブンのコーヒーをイートインで呑むことにしている。
 コーヒーを飲むだけではない。読みかけの文庫本を15分ばかり読むのも日課である。新規に購入する介護や医療関係の専門書以外はもっぱら蔵書の時代小説の再読である。藤沢周平、乙川優三郎といった好きな作家のほぼ全作品である蔵書は読み尽した。そこで手にした蔵書は山本周五郎の時代小説「日日平安」だった。
 武家もの、市井ものが混在する11編の短編集である。それぞれに多彩な物語を主人公の人間性に照準を当てて紡いでいる。読み終えて一篇ごとにそれなりの味わいが残るものの藤沢周平ほどの情感は伝わらない。作者の誕生は藤沢周平の誕生から遡ること20年余りである。それぞれの作家が生きた時代の息吹の違いを感じさせられた。
 ともあれこの作家の時代小説以外の選択肢はみあたらない。しばらく山本周五郎の世界に浸ることになる。

 



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週刊朝日ムック「さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん」

 尼崎の在宅医である長尾クリニック・長尾和宏医師のブログを読んでいる。最近の記事で週刊朝日ムック「最期まで自宅て診てくれるいいお医者さん」が紹介されていた。
 在宅ケアが目下の関心事である。わけても在宅医選びはケアマネ選びと並んで在宅ケアの根幹であると思っている。このムック本の狙いはいい在宅医選びのための実用書である。特に国の要件を備えた全国の在宅療養支援診療所の内、看取り件数等の一定の基準によりリストアップした2014診療所を掲載している点が「売り」である。11月14日の発行のこの本を事前にネット予約して入手した。
 130頁の内45頁に渡って「看取り実績のある診療所リスト」が掲載されている。最寄りの診療所では神戸市北区有野町の松本ホームメディカルクリニックが掲載されていた。福祉フォーラムで講演してもらった川崎医師の西宮市越水町の川崎医院も掲載されている。
 もちろん診療所リスト以外にも在宅医療に関する記事が満載である。長尾医師の「平穏死10の条件」のエッセンス、リビングウイルの勧め、在宅医療を始める前の基礎知識(家族ケア、終末期の迎え方、がん・認知症・脳卒中の病態別の在宅医療の流れ等)、在宅医療にかかるお金、最後の迎え方などである。これ一冊で在宅医療の全貌が把握できる。これで税込980円はいかにも安い。お勧めである。

 



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浅田次郎著「五郎治殿御始末」

 書棚の読みたい作家の作品の再読を読み尽した。やむなく個々の作品をさがして再読している。古希を越えた身では選択は年相応の好きなジャンルに限られる。かつて愛読した推理小説や海外の作品には手が出ない。
 そんな経過で手にした作品が浅田次郎著「五郎治殿御始末」だった。この6篇の短編小説集は千年続いた武士の時代の幕末維新の幕引きを巡る物語である。そうした特異なテーマに絞って様々な物語を紡ぎ出すこの作家の力量に舌を巻いた。
 なんといっても圧巻だったのは表題作の「五郎治殿御始末」だった。幕末に徳川政権に殉じた桑名藩の事務方上士であった岩井五郎治が主人公である。桑名藩の「始末」をやり遂げた後の自身の「始末」を鮮やかに描いている。桑名藩と岩井家と残されたたった一人の肉親の孫の「始末」を終えて行方知らずとなっていた五郎治の消息が孫のもとに届けられる。老骨に鞭打って五郎治は西南戦争に加わり白兵戦の中で討ち死にしていた。孫に託された遺品は生前に周囲から嗤われていた「付け髷」だった。この付けチョンマゲに込められた意味を作者は孫の述懐として次のように語る。「侍の理屈は、一筋の付け髷に如かぬ。侍の時代など忘れて、新しき時代を生きよ」。
 物語の最後に作者自身の想いが語られる。「もし私が敬愛する明治という時代に、歴史上の大きな謬りを見出すとするなら、それは和洋の精神、新旧の理念を、ことごとく対立するものとして捉えた点であろう]
。同感である。

 



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長尾和宏著「痛くない死に方」

 長尾和宏著「痛くない死に方」を読んだ。これで著者の7冊目の著作を読んだことになる。私の地域活動の目下の主要なテーマは「在宅ケア」である。そのための多くの知識と情報を長尾医師の著作から得ている。それだけに現状では著者はもっとも信頼を置いている医師といえる。
 この著作は既読の「平穏死10の条件」の4年後のリニューアル版である。在宅医としての4年間の経験の蓄積が前作以上に示唆に富んだ記述となって展開されている。以下の指摘に関心を持った。
 ・痛くない死に方には緩和医療の知識と理解のあるかかりつけ医を見つけておくこと。緩和ケアがしっかりできないと在宅看取りには至らない。それにはかかりつけ医の在宅看取り数が目安となる。
 ・認知症終末期の平穏死の条件は「最後まで口から食べること」「胃ろうを選択しないこと」
 ・平穏死に関わる有益な情報の紹介。医師の在宅看取り実績数を公開した「自宅で看取るいいお医者さん」というムック本。平穏死に取組む「日本慢性期医療協会」とその会員を掲載したHP(近隣での会員施設には北摂中央病院と船坂の介護老人保健施設・ふるさとの家がある)
 ・施設を終の棲家として決めたなら終末期に病院に搬送せず平穏死を迎えさせてくれる施設を選ぶこと
 ・「在宅看取りは警察に届けねばならないという誤解」は医師法20条の誤解」。「診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合」は主治医が後日に往診して死亡診断書を発行できる」というのが医師法20条の解釈。

 



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 読まれたんですね 私の店の近くの狭い お菓子屋さんの二階で開院されて今は元銀行の跡地で開業されていてDRも多数おられて殆ど年中無休でされています。

[ モンセ分店薬局 薬剤師徒然日記 ] 2017/10/08 7:28:58 [ 削除 ] [ 通報 ]

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NHKドキュメンタリー”赤秋〜仲代達矢・喪失からの出発〜”

 録画していたドキュメンタリー番組を観た。12年前に初回放映された「赤秋〜仲代達矢・喪失からの出発〜」という番組だった。
 あらためて仲代達矢という稀有な役者の偉大な足跡に共感した。撮影当時72歳だった彼も今や85歳を数える。撮影の8年前に最愛の妻であり同志でもあった宮崎恭子を膵臓癌で亡くしている。番組は恭子を亡くした後の喪失感からようやく脱して「老い」をテーマとした舞台に挑む仲代の姿を追っている。
 妻・恭子が立ち上げた俳優養成塾である無名塾を引き継いで若い俳優たちを育てる姿が描かれる。仲代の厳しく苛烈な指導を恭子が温かくサポートするという役回りが、恭子亡き後は仲代自身がその両方を使い分けながら指導しているという塾生の言葉が印象的だ。同志であった妻の役回りも引き受けながら喪失感に立ち向かっていたのだろう。
 仲代は「赤秋」という言葉を好んで使うようだ。「青い春(青春)」に対峙した意味合いなのだろう。燃えるような秋をひた走る自身の想いを重ねているのだろうか。
 久々に見応えのあるドキュメンタリーを味わった。

 



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長尾和宏著「薬のやめどき」

 在宅医・長尾和弘氏の著作「薬のやめどき」を読んだ。在宅ケアについての学習を重ねるに従い、現代医学の薬物治療への依存度の高さに疑問が深まった。漢方は別にしても薬にはなにがしかの副作用が避けられない。多剤投与の弊害の最大の問題点である。
 この著作は長尾氏のかねての主張を集大成したもので大いに共感した。全体が二つのパーツで構成されている。第1章は降圧剤、糖尿病薬、抗がん剤、抗認知症薬、睡眠薬、胃腸薬等、個々の治療薬ごとのやめどきのサジェスチョンである。第2章では多剤投与に流される今日の医療界の背景や事情を在宅医の立場から断罪する。「薬には必ず副作用がある」「臓器別縦割り医療の弊害」「お薬ムラとお薬利権」等々。
 私は7年前から降圧剤を服用している。降圧剤は一度飲み始めたら止められないという説を素朴に信じていた。当初はアムロジン2.5mg2錠を毎朝服用していたが、その後ジェネリックのアムロジピンに切り替え更に1年前からはかかりつけ医のためらいを押し切って1錠に減量した。血圧は服用を始めた頃の155-105をピークに現在は135−75と安定している。減量を申し出た時は130ー70だったが、減量直後の1ケ月も135−73と著しい変化はなかった。ちなみに服用薬のアムロジン(アムロジピン)はこの著作でもお勧めの降圧剤として紹介されている。
 「薬のやめどき」もさることながら著作の中でしばしば語られる「やめどき」という言葉が気に入った。人はしばしば始めることに関心が深い。次々に始めた結果、生活ががんじがらめになることも多い。古希を越えて終活が迫られている。今取り組んでいる様々な活動は多岐に渡る。「やめどき」を真剣に考えなければならない。



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興味深い話です。後半の「やめどき」、同感です。

[ akaru ] 2017/09/20 15:09:29 [ 削除 ] [ 通報 ]

akaruさんとは共通の問題意識が多いですね。「薬のやめどき」に続いて同じ著者の「痛くない死に方」を読んでいます。

[ 明日香 亮 ] 2017/09/21 7:20:53 [ 削除 ] [ 通報 ]

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乙川優三郎「武家用心集」

 乙川優三郎著「武家用心集」を再読した。様々な制約や仕来りに覆われた息苦しい武家社会を生きる8人の武家の男女の姿を描いた短編集である。それぞれの物語がさりげない日常を切り取って情感豊かに紡がれている。読後の余韻がじわっと心に沁みる珠玉の短編集である。
 巻末の解説が乙川優三郎という作家を巧みに表現している。「乙川の小説は思想が主題ではない。論理が主題なのでもない。人間の心の最も奥底に潜んでいる感情ないし情緒に形を与え、日本語の繊細な調べに乗せること、それが乙川の本当の目的ではないだろうか。(略)乙川優三郎にとっては、まず『言葉ありき』なのだ。言葉を核として、物語世界が生成され、醸成されていく。すなわち文学のあるべき姿がたち顕れてくる」。共感できる解説だった。
 1953年生まれの乙川優三郎は63歳である。その年齢の割に著作はそれほど多くない。むしろ寡作と言ってよい。20冊に満たない時代小説は読み尽した。数編の現代小説を読むことの逡巡がある。時代小説で培われた彼のイメージが壊されるのではないかという危惧がある。それほどに彼の時代小説は魅力的である。

 



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明日香 亮
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山口は豊かな自然と歴史や伝統に育まれた街である。散歩道で目にする四季折々の風景や風物詩を綴ってみたい。
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