山口を歩く

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山本周五郎著「松風の門」

 山本周五郎著「松風の門」を読んだ。昭和10年代から30年代にかけて執筆された「武家もの」「下町もの」を中心とした13編の短編集である。
 各作品はそれぞれに水準以上の質を備えているものの、特筆するほどの作品もなかったという印象である。ただ「解説」でも触れられているが作者の多彩な創作手法を味わえた作品集だった。
 とりわけ興味深かったのは作者が「一場面もの」と名付けた作品群だった。文字通り作品の舞台が一場面で展開する物語である。「ぼろと簪」は下町のごくありふれた居酒屋が、「夜の蝶」は下町の屋台の店が、「月夜の眺め」は漁師町の船宿が、「砦山の17日」は隣藩との領境の隠し砦が唯一の舞台となって展開する。
 一場面だけを固定して一定枚数以上の物語を展開するということの困難さは想像に難くない。場面の詳細な描写を可能にする筆力や登場人物の設定と相互の関係性を巧みに描ける構想力が欠かせない。固定された場面と登場人物をもって尚、豊かな物語性を紡げる創造力が求められる。
 四つの作品はこれらの要素を巧みに実現した物語性のある作品だった。プロの小説家の技量に舌を巻いた。

 




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セヴンイレブンの「ちょい生」販売計画の中止

 早朝ウォーキングの最後には最寄りのセブンイレブンに立ち寄ってモーニングコーヒー片手に読みかけの文庫本を読むのが日課になっている。この時間帯でコーヒーが飲めるのはコンビニのイートイン利用しかないからだ。100円のドリップコーヒーの味わいにも満足している。
 数日前にいつものように寛いでいると、スタッフ同士の会話が耳に入った。「セブンイレブンがビールサーバーを置いて生ビールを販売するというヤフーニュースをみたけど、それはないわな〜。これまでもイートインで買ったばかりの缶ビールを呑み始めたおじさんにそれだけは勘弁してとお願いした。生ビール販売になると店内飲酒はもう止められんわ」。同感だった。
 そのセブンイレブンの生ビール販売の試験導入が中止になった。「店での対応が難しい」との判断のようである。妥当な判断である。個人的には生ビールは好きだがコンビニで呑もうとは思わない。それ以上に24時間営業のコンビニの地域との関わりという視点が必要だ。今やコンビニは地域には不可欠なインフラといえる。とりわけ深夜の安心安全面での機能は得難いものがある。そのコンビニでの生ビール販売は安心安全面の機能を自ら貶めることになりかねない。スタッフの少ない深夜の酔っぱらいを店内に呼び込むことになりかねない。スタッフとのトラブルも懸念される。ひとまずは良識ある判断に賛同したい。


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賛同、同感です。

[ せいさん ] 2018/07/19 20:24:02 [ 削除 ] [ 通報 ]

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山本周五郎著「生きている源八」

 山本周五郎著「生きている源八」を読んだ。昭和の初めから昭和19年までの戦前の作品12編を納めた短編集である。その多くは戦国末期の余燼が残る江戸初期の武家社会を舞台としたものだ。巻末には超短編の現代小説と現代戯曲が納められていたが、いずれも興味の埒外の作品で読了しなかった。
 この作者の本領は何といっても時代小説である。この短編集に納められた10編の時代小説も肩の凝らない娯楽作品ながらそれぞれにメッセージ性のある作品群で朝の散歩の後のコーヒーブレイクの格好の相棒だった。

 



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山本周五郎著「彦左衛門外記」

 山本周五郎著「彦左衛門外記」を読んだ。文庫本裏表紙の作品紹介では「天下のご意見番として名高い大久保彦左衛門の虚像を暴いた風刺と虚構を織り交ぜた奇想天外、捧腹絶倒の異色作」とあった。
 読み終えてこれほど期待外れで落胆させられた作品はあまり記憶にない。途中で何度か読むのを止めようかと思ったが、そのたびにここまで読んだのだからという惰性で読み終えた感がある。
 何が問題なのか。物語のテーマ性が希薄である。大久保彦左衛門の虚像を暴くという他愛ないテーマしか見当たらない。物語性にも乏しい。主人公と彦左衛門の奇行、愚行が延々と繰り返されるばかりという印象が強い。
 解説氏は当然ながらこの作品に高評価を与える。曰く「既成の小説を否定する大胆な小説技法」「物語や伝説の成立の秘密をユーモラスに風刺」「小説の方法的冒険を確かめようとした痛快なたのしい真面目な小説」。同意し難い評価である。

 



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5歳の女児のひらがなノート「おねがいゆるして」

 朝刊社会面のトップを飾った記事は衝撃的だった。東京都目黒区で発覚した5歳女児「船戸結愛(ゆあ)ちゃん」の虐待死を伝える記事だった。虐待を繰り返した親たちが住む部屋からは、「もっとあしたはできるようにするからもうおねがいゆるして」などと結愛ちゃんが書いたノートが見つかったという。
 結愛ちゃんの体重は死亡時、同年代の平均の約20キロを下回る12・2キロだった。2歳半の孫娘・花ちゃんとほぼ同じ体重である。結愛ちゃんの愛らしい報道写真に、元気いっぱいに幸せに過ごしている孫娘の姿を重ね合わせながら思わず涙ぐんでしまった。
 いったいこの国はなぜこんな社会を生みだしてしまったのだろう。特定の親たちの犯罪性もさることながら、子どもたちへの虐待や虐待死が後を絶たない社会を生みだした大人たちの責任は重い。根底にあるものは社会に蔓延する個人主義(ミーイズム)ではないか。
 自身の権力保持やお友だちへの利益供与のためには平気で虚言を弄する我が国の最高権力者はその最たるものだろう。格差社会や貧困化の進展がそれに拍車をかけ、「自分さえ良ければ」の意識が増幅する。対立、分断、排除が横行し、地域コミュニティを侵食する。協調、共存、包み込みという地域を支えてきた良き風土をもう一度取り戻すことこそが問われている。


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かつて「サムライ」が住んでた国がこんなことになってしまって。今の政治家の中には切腹ものの人が何人もいらっしゃるかと。「それがわかれば苦労はしない」と言った政治家さんなんか、真っ先にね。

[ imamura ] 2018/06/09 9:08:47 [ 削除 ] [ 通報 ]

全く同感です。民生委員という立場もありブログでの政治的な発言は極力控えていますが、今回ばかりはついホンネを吐露してしまいました。

[ 明日香 亮 ] 2018/06/09 14:58:46 [ 削除 ] [ 通報 ]

わたしもブログでは政治的なことはなるべく書かないようにしてますが、今の時世はホントに困ったものだと思います。あまりにもヒドイですもんね。

[ imamura ] 2018/06/09 18:28:40 [ 削除 ] [ 通報 ]

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山本周五郎著「酔いどれ治郎八」

 山本周五郎の短編時代小説を読み継いでいる。時代小説9篇と現代小説2篇を納めた短編集「酔いどれ治郎八」を読んだ。解説によれば作者が32歳〜39歳にかけて執筆した比較的初期の作品群である。
 時代小説は物語性と娯楽性に富んだ作品が多く、肩の凝らない読み物として愉しんだ。この作者の現代小説については個人的にはどうしても馴染めない。

 



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「だるまさんがころんだ」の絵本作家の訃報

 絵本作家・かこさとし氏が亡くなった。92歳だった。個人的には孫娘・花ちゃんの「だるまさんがころんだ」などの作品の読み聞かせ絵本の作家という関わりがあった。1年前に同シリーズの動画をみながら花ちゃんが言葉と手振りで一緒に楽しむようすが思い出深い。
http://nishinomiya.areablog.jp/page.asp?idx=1000061331&date_sel=2017/04/01 あらためてネット検索して氏の経歴等を知った。東大工学部応用化学科卒業のバリバリの理工系の人である。だるまさんシリーズの作風からは意外な気がしたが、幼児が喜ぶような絵と文章が計算された理詰めの構成で展開されていることを思えばナルホドと頷ける。
 「だるまちゃんとてんぐちゃん」が代表作のようだ。今度花ちゃんと一緒に過ごせるときにはぜひ読みきかせようと思った。

 



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山本周五郎著「人情武士道」

 山本周五郎著「人情武士道」を読んだ。昭和8年から昭和16年の8年間に執筆された時代小説10編と現代小説2篇を納めた短編集である。
 10編の時代小説は、それぞれにテーマ性をもった佳作である。とりわけ表題作「人情武士道」と「驕れる千鶴」は、作者の優れたの感性が紡ぎ出した人間の優しさや愛おしさがいかんなく発揮された作品だった。現代小説2篇は作者の作風から外れた不満な出来栄えだと思えた。
 これらの作品群の多くは大衆娯楽雑誌「キング」に発表されたものだ。「解説」によると当時は純文学の立場から大衆小説を一段見下した風潮があったという。作者はこの風潮との葛藤のなかで「大衆小説は書くが、やがてその中で自分のやりたいことをやるつもりである」と語っていたとのこと。さらにこれらの作品が満州事変に始まり太平洋戦争へと突き進んでいった時代背景の中で執筆されたことを考えれば、時代の風潮を越えて輝く創作活動のギリギリの質を求めたものと言えよう。

 



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山本周五郎著「町奉行日記」

 

 山本周五郎著「町奉行日記」を読んだ。昭和15年から昭和35年の20年間に執筆された時代小説10編を納めた短編集である。太平洋戦争開戦前夜から敗戦から高度成長期に至る激動の時代の執筆である。激動期のそれぞれの時代背景を反映しながらどの時代にも通じる普遍の「人の情」を描いている。とりわけ「土佐の国柱」「晩秋」「落ち梅記」「法師川八景」などの短編に心魅かれた。
 情の奥行きの深さやきめ細かさという点では個人的には藤沢周平の時代小説に及ばないと思う。それでも激動の時代に動じることなく確固たる姿勢で作品を紡ぎ続けた大家の物語に襟をただす思いがよぎった。

 

 



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 読んでいると江戸時代にタイムスリップできます☆彡

[ モンセ分店薬局 薬剤師徒然日記 ] 2018/04/04 18:11:08 [ 削除 ] [ 通報 ]

加齢とともに江戸時代の良さがしみじみと味わえるようになりました。

[ 明日香 亮 ] 2018/04/06 7:23:03 [ 削除 ] [ 通報 ]

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本田一成著「オルグ!オルグ!オルグ!」

 昨年、2回に渡って本田一成國學院大學経済学部教授のインタビューを受けた。我が国のチェーンストアの労使関係についての研究者で1970年代から1980年代のチェーンストア労働界や出身労組の動向についての取材だった。同様にチェーンストアの主要な労組の取材もほぼ完了しているようだった。
 このほどそれらの取材結果の集大成が「オルグ!オルグ!オルグ!」というタイトルで発刊され、取材対象である私に送付されてきた。 360頁にも及ぶチェーンストア労働運動史の金字塔ともいうべき労作である。しかも堅苦しい学術的な記述でなく人物描写を中心とした読み物風の記述で一気に読者を引きこむ著作である。手にとりさえすれば多くの読者を引き付けるに違いない。記述のスタンスも著者の独自の視点を堅持しながら努めて客観性を重視したもので、チェーンストア労働運動の歴史や流れを理解し、主要労組の結成の背景・経過を端的に把握できる。
 とりわけ私の出身労組に関する部分は、労組結成の中軸を担った私についての記述を中心に結成当時の想いやチェーンストア労働運動への関わり方や立ち位置が踏み込んだ形で見事に描写されている。(私に対する過度な評価におもばゆい面もあるが・・・)
 後輩たちにもぜひ読んでもらいたい著作である。

 



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明日香 亮
プロフィール
山口は豊かな自然と歴史や伝統に育まれた街である。散歩道で目にする四季折々の風景や風物詩を綴ってみたい。
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