山口を歩く |
昨晩、大阪府労働委員会の現役委員とOBとの懇親会「なにわ会」が開催された。昨年春に労働者委員の任期を終えたばかりの新人?OBである。まだ顔馴染みの出席者も多い筈ということもあり出席した。
会場の大阪府立労働センター10階ホールには現役、OBそれぞれ約20名が顔を揃えた。出席の労働者委員OB9名の内6名は任期が重なる面識のあるメンバーだった。公益委員OBの内お二人は任期中に会長を務められ担当事件を通して比較的懇意だった弁護士さんである。
乾杯の後、そのお二人と言葉を交わした。何といっても共通の話題は都構想否決という住民投票についての感想だった。その背景には橋下大阪市長に対する一連の不当労働行為の申立てが府労委に行われたということがある。
お一人は、その最初の事件である職員アンケート事件について府労委の実行確保の命令を出した際の会長である。それは、向かうところ敵なしの破竹の勢いだった2012年初旬の橋下市長に初めて発せられた公的なNGでもあった。もうひとりの方は、その直後に会長に就任しその後の一連の申立てを一手に受けることになった方である。その後の一連の申立てはことごとく不当労働行為が認定され救済命令が発せられた。上級審である中労委でも府労委判断の支持が相次いでいる。
私自身も一連の事件の半数以上を労働者委員として関与した。最初の職員アンケートの実行確保の命令についても意見書でその不当性を訴えた。そんな共通の体験が労働委員会という場を離れても橋下市政の動向についての関心を共有している。労使関係の実態や法的な正当性に照らしても府労委の判断に確信を持っていることでも共有している。それだけに都構想否決という事態にお互いに安堵し合ったことは言うまでもない。
先日、2カ月振りに労働委員会委員OBの現役委員との懇親会に参加した。受付を済ませた後、労働委員会事務局スタッフから大きな紙バックが渡された。中には長さ50cm近い丸筒と10cm足らずの四角い箱が入っていた。「労働委員会委員退任に伴って厚労省から送ってきた感謝状と記念品です」との口上だった。
帰宅して開封した。新聞紙1頁ほどの大きな感謝状には、厚生労働大臣名で「6年間の労働委員会委員在任による労働委員会制度の発展への貢献とねぎらい」の言葉が記されていた。記念品は桐の箱に入った直径6cmの銀杯だった。
いかにもお役所風の大仰で形式ばったものだった。ねぎらいの根拠は労働委員会委員という公職の在任でありその期間だった。貢献の中身や活動の評価とは無縁である。おそらく在任期間の長さに応じて記念品も異なるのだろう。6年間の労働者委員の在任の証に違いない。その感謝状と記念品を醒めた気分で眺めながら、自分が過ごした委員生活の実感とどこかこ違うような気がした。
公職の在任や期間を目安に褒賞制度が組み立てられているようだ。それは煎じ詰めれば公職者であるお役人たちの価値観に彩られた仕組みのようにも思える。ふと「位打ち」という言葉が浮かんだ。中世に財力も武力も持たない朝廷が駆使した手法のひとつに「位打ち」というものがあったそうな。分不相応な位を与えて自滅を誘うという手法である。
一昨日の夕方から昨日朝まで、労働委員会労働者委員の新旧委員の歓送迎会があった。任期満了のつど2年に一回ユニトピアささやまで開催される。懇親を兼ねて一泊で開催されるのが恒例である。今回も、午後6時の開宴に間に合うようJR篠山駅口に向かった。篠山駅からユニトピアの送迎バスに4人の同僚たちと乗車した。
開宴となった。料理はいつものように篠山名物の牡丹鍋である。今回は11人の委員の内、私も含めて6名が退任した。乾杯の後、退任役員から順番に自己紹介を兼ねた全員のスピーチがある。2番目に話をした。労働委員会の歓送迎会で指名されて挨拶した時は、時間の制約や会の雰囲気を考えて短時間の受け狙いも含めた挨拶をしたが、この場では新人6名の皆さんに率直に想いを伝えておきたいと思い、次のような話をした。
「退任に当たり直球を投げさせてもらいます。6年間やってみて結局これがポイントだったという点があります。それは審査事件の命令交付に向けて意見書は出すべきであるということです。私自身は担当した全事件について提出しました。おかげで労働委員会の役割、機能、労働者委員の立場や任務が整理され、理解が深まったと思います。意見書とは何か。この事件をどう捉えたか。この事件での命令はどうあるべきか。そもそも労働者委員は審査事件でどんな役割を果たすのか。労働委員会の機能や役割とは何か。そんなことが意見書と向き合い、考えることで次々に問題意識にのぼります。ぜひ意見書は書いてください」。以降、比較的まじめで硬派なスピーチが続いた。
8時半頃からカラオケルームに席を移した。冒頭に、労働委員会歓送迎会でのスピーチで「心残りだったのは、替え歌を披露できなかったこと」と喋ったのを覚えていた同僚たちから、早速替え歌を披露するよう求められた。素直にお受けして一番バッターで唄い、心残りを帳消しした。カラオケの伴奏を耳にしながら新人の皆さんとも打ち解けて懇談した。
翌朝5時には目が覚めた。6時に大浴場の朝風呂に浸かった後、本館前の矢代湖を周回する遊歩道を散策した。7時の朝食ビュッフェを堪能して、8時の送迎バスに送られておそらく最後になるだろうユニトピアささやまを後にした。
一昨日の夜、大阪府労働委員会の歓送迎会があった。いつものように地下鉄の東梅田駅から谷町線に乗り込んだ。6年間、月6〜7回は利用した路線である。もうしばらくは乗ることもないな〜と、少しばかり感傷に耽りながら電車の揺れに身を任せた。谷町四丁目駅で下車し、会場のシティープラザ大阪に向かった。
ゆとりをもって出た筈だが、会場に到着したのは開会5分前だった。既に会場にはほとんどの出席者の姿があった。開会を兼ねて新任の府労委会長の多少緊張気味の挨拶があった。続いて退任委員の挨拶である。公労使合わせて33名の委員の内、半数近くが退任した。労働者委員も11名中6名もの退任である。退任挨拶は公労使それぞれの代表1名ずつが指名された。公益委員代表で前会長が挨拶した後、労働者委員代表で登壇した。
事前に打診されていたこともあり、あらかじめ内容を想定しておいた。前半と後半に分けて、前半は労働者委員として貴重な経験だった大阪市事件についての所感を述べ、後半は労働者委員をテーマにした自作の替え歌を披露できなかったことが唯一の心残りだと、ウケ狙いで次のように結んだ。「替え歌は、労働者委員としての悲哀と喜びを詩情豊かに切々と謳い上げた会心作です。河島英五の『酒と涙と男と女』の替え歌で、題して『調査と審問と和解と斡旋』です」。ちなみにこの替え歌のことはこのブログで2年前に記事にした。
挨拶が終わり、知事名のありがたい?感謝状が退任者に贈られた後、懇親会に移った。6年間で54件もの事件を担当した。事件ごとに公労使の3人がチームを組んで審査や調整を行う。入れ替わりはあるものの立場の違いを超えて多くの委員との交流が生まれた。立食形式の懇親会はそうした方々との思い出を語り、想いを述べ合う場でもあった。1時間半の懇親会を終えて、しばらくは乗ることのない谷町線最寄り駅に向かった。
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