山口を歩く

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藤沢周平著「無用の隠密」

 久々に藤沢周平作品「無用の隠密」を再読した。表紙のサブタイトルに「未刊行初期短編」と記載されているように、著者が作家デビュー前に執筆した15編の短編時代小説が収録されている。昭和37年から39年にかけて書かれた著者30代半ばの著作である。ストーリー展開の違和感やテーマの掘り下げ不足などの不満はあるもののじゅうぶん楽しめた作品群だった。特に次の三作品が印象に残った。
 「老彫刻師の死」は古代エジプトを舞台とした著者の異色の作品だった。実在の人物・カエムヘシトという宮廷彫刻師を主人公にその妻と娘たちとの壮絶な愛憎を描いている。
 「ひでこ節」は、著者の郷里・庄内地方の温海温泉郷を舞台とした土人形師と旅芸人・お才との出会いとちぎりの物語である。土人形づくりとお才の唄う「ひでこ節」を巧みに絡ませた秀作である。
 表題作「無用の隠密」は、幕閣に命ぜられて庄内藩に潜入した隠密の消息の探索を命ぜられた隠密の物語である。20数年を経て藩情勢は変化し潜入した隠密の任務は無用となり、幕閣は隠密の存在自体を抹殺することを求めていた。こうしたテーマ設定自体が斬新だった。探索を命じられた隠密と潜入隠密の娘とのちぎりも絡めた物語性に富んだ作品だった。

 




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明日香 亮
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