阪急沿線文学散歩

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あにあん倶楽部阪神南再発見モニターツアー「文学探訪コース」に参加しました

 昨年兵庫県阪神南県民局管内の地域情報を総合的に提供するポータルサイトとして、「あにあん倶楽部」が開設されました。「あにあん」とは−3市、尼崎・西宮・芦屋を愛し、それぞれの魅力を楽しむ人のこととのこと。


http://anian-club.jp/


 兵庫県では阪神南地域として尼崎市、西宮市、芦屋市が定義されていることに違和感があるものの、私も早速会員登録(無料)。あにあん倶楽部で8月9日に計画された阪神南再発見モニターツアー「文学探訪コース」に参加申し込みいたしました。


 8月は台風の接近で延期となりましたが、快晴に恵まれた10月18日(土)に開催されました。


阪神尼崎駅前に集合し、大型観光バスで出発です。


 コースは近松門左衛門ゆかりの地(近松記念館、広済寺)→夙川カトリック教会→西宮神社→夙川オアシスロード→虚子記念文学館→谷崎潤一郎記念館→「細雪」の碑
 という尼崎、西宮、芦屋の文学をたどるゴールデンコース、ナビゲーターは皆様良くご存知の西宮芦屋研究所員さんです。

 

 阪神尼崎駅を出発して、まず近松記念館のある近松公園へ。

 


 近松記念館では、近松かたりべ会のボランティアガイドの方から世界に誇る劇作家近松の生涯、尼崎とのかかわり、展示品についてわかりやすく説明していただきました。


「近松は日本のシェークスピアと言われていますが、それ以上です」と高い評価をされるガイドさん。ドナルド・キーンも、和泉書院『近松門左衛門三百五十年』の巻頭言「世界の近松」で次のように述べられています。


<明治時代の昔から近松のことを日本のシェークスピアと称することがあったが、もうその時代は終わり、世界の近松と言った方が正しい。…
英語で心中物を書く劇作家も居り、そしてシェークスピアを愛する人でさえも近松の世話物にシェークスピアにない現代性があることを認め、最高に誉める評論家もいる。>
 世界の近松、そういえば須賀敦子さんが人形浄瑠璃「曽根崎心中」を観たのもミラノの劇場でした。
http://nishinomiya.areablog.jp/blog/1000061501/p10840021c.html

 

 説明の後、近松が建立本願人となって日昌上人により再興された広済寺へ。


本堂の裏には「近松部屋」と呼ばれる六畳二間、奥座敷四畳半の建物が明治の末まであったそうで、ここで執筆活動をしたと伝えられているそうです。


(写真は近松記念館に展示されている模型)


 近松が晩年広済寺を訪れたころはどんな景色だったのでしょう。宮崎修二朗著『ふるさと兵庫の文学地誌 環状彷徨』二 武庫野のこだま〈阪神地帯〉で「近松の寺」と題して、次のように紹介されています。


<ところで、尼崎で唯一の文学遺跡というべき、近松門左衛門の墓のある久々知の広済寺も、かつては周辺に広がっていた田園風景が急速に遠退いている。
 神崎の駅から十町ばかり北の方へ行くと久々知である。街道でも無い極小村で、あたりに丘も無い。唯一広済寺、それも小さく何の趣もない。しかしそこに巣林子が眠っているという。…..墓へ参ると、極狭い。きたならしい墓地の片隅に三尺に足らぬ小石!あたりに黐(もち)、杉、柿、葛、鶏頭、莢豆(さやまめ)の畠、それだけである。
 これは大阪の文人高安月郊の『近松の墓』という一文の起筆部だ。それを収めた『畿内見物』が明治四十五年発行だから、この情景も七十年あまり前のもの。>
 久々知のあたりの景色も、すっかり変わりました。「きたならしい墓地の片隅に三尺に足らぬ小石!」だったらしい近松の墓も現在は国指定史跡となり、手入れが行き届いています。


 高さ約48センチメートルの緑泥片岩の自然石の小さな近松の墓、 表に近松と妻の法名(戒名)が並んで刻まれているのが特徴だそうです。墓石の横の太い幹は黐(もち)です。

 土井晩翠が昭和十年に広済寺を訪れたことが、『環状彷徨』に述べられていました。
<詩人土井晩翠がこの寺を訪れたのは昭和十年の秋。尼崎出身の元兵庫県知事阪本勝は県会議員当時、二高に学んだ師弟関係から晩翠を招き尼崎市歌の作詞を依頼した。はるばる仙台から西下した老詩人は近松寺を喜び、つぎの『尼崎市歌』は生まれたのであった。


名所旧跡数知れず
明智を討てる豊公の
本陣据えし場含み
世界の詩聖近松の
跡はた残る尼崎                                >

 世界の詩聖近松と歌い上げる、まさに「近松のまちあまがさき」です。


現在は歌われることはなくなってしまったようですが、生粋の尼崎っ子を誇り、マイクも使わず大きな声で説明して下さったボランティアガイドさんにぴったりの市歌です。本当にありがとうございました。


 さて次は、夙川カトリック教会に移動しましょう。


 




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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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