阪急沿線文学散歩

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森見登美彦『有頂天家族二代目の帰朝』決闘場面に登場する登録有形文化財

 森見登美彦『有頂天家族 二代目の帰朝』第一章「二代目の帰朝」の決闘場面からです。


決闘場所は百年前の決闘場所と同じ、京都四条大橋のたもとにある南座の大屋根の上です。


<決闘当日の夜、赤玉先生は南座の大屋根によちよちと這い上がっていった。鉢巻と襷掛けからは闘志満々であることがよく分かるが、四つん這いになってぶるぶるしているその姿には天狗らしさのかけらもない。百年前に我が子を蹴落とした南座の大屋根を決闘の場所に指定したのは明らかに無謀なことだであった。しかし先生は不屈の闘志で屋根を這い、なんとかてっぺんに辿りついた。>

レストラン菊水のビアガーデンは鞍馬天狗たちが貸し切りで見物です。


写真は昨年夏に訪れた時の、屋上ビアガーデンの様子。

<四条通を挟んで向かいにある「レストラン菊水」の屋上から、ジウジウと肉を焼く美味そうな匂いが夜風にのって流れてきた。提灯の輝くビアガーデンは今宵鞍馬天狗たちによって貸し切られ、今まさに「薬師坊をテッテイして馬鹿にする會」が開催されようとしていた。>

ヴォーリズ建築の登録有形文化座「東華菜館」も登場します。

<また、鴨川の対岸で灯篭のように輝く「東華菜館」の屋上では、岩屋山金光坊がひとり老酒を傾けて旧友の決闘が終わるのを待っていた。>

今年の夏はこちらにも行ってみましょう。

<やがて暗い夜空から万年筆のインクが滴るようにして、黒ずくめの二代目が舞い降りてきた。>
小説では黒ずくめの二代目ですが、アニメでは白ずくめでした。

赤玉先生は懐から風神雷神の扇を取り出し、大風を起こそうと振り上げようとするのですが、手からすっぽぬけて宙を飛びます。

南座の大屋根で繰り広げられた決闘の結果はあっけない幕切れでした。



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森見登美彦『有頂天家族二代目の帰朝』に登場する廿世紀ホテルとは?

森見登美彦の小説の舞台は、ほとんどが実在の場所や建物なので探訪するのは比較的容易です。しかし『有頂天家族二代目の帰朝』に登場する、百年前に赤玉先生と二代目の大喧嘩の原因となった戦争成金の箱入り娘の父親が所有する、烏丸通りの西洋風ホテル「廿世紀ホテル」のモデルは実在したのでしょうか。


 大正時代に京都に実在した大きな洋風ホテルは二つありました。


一つは東山・蹴上の麓に開かれた「吉水園」の園内に設けられた、都ホテル。


もう一つは河原町通二条下る旧勧業場跡(旧長州藩邸跡)にあった京都ホテルです。


現在は京都ホテルオークラとなっています。


 京都ホテルの写真を見ると、小説に書かれているような時計塔もありませんし、烏丸通にはないのですが、都ホテルよりは、こちらがモデルに近いかと考えていました。

それに二代目が帰朝して宿泊したのは、現在の京都ホテルオークラでしたから。

 

 しかし、更に調べていると、『小説TRIPPER』が創刊「20」周年を記念し、20156月に発売した記念号に森見登美彦が「廿世紀ホテル」と題した短編を執筆していました。

どうも『有頂天家族』に登場させた廿世紀ホテルの物語を更に発展させたようです、

<これは大正時代のお話である。廿世紀も早十五年を過ぎて、新世紀到来の興奮もすっかり冷めた頃合いである。>と始まります。

<さて、その夏、四条烏丸にある「廿世紀ホテル」で妙な出来事が相次いでいた。「廿世紀ホテル」は煉瓦造りの西洋風ホテルである。欧州大戦による軍需景気でしこたま儲けた成金が建設したもので、屋根に聳える時計台、最新式のセントラル・ヒーティング、全館を宝石箱のごとく輝かす電灯、深紅の絨毯を音もなく行き交う従業員たちと、まさにハイカラ中のハイカラだったが、そんなホテルで怪異が続発するというのだから妙だった。>


 京都で時計台といえば、思いつくのは京都大学ですが、四条通にあった時計塔の写真がありました。

しかしこの建物はホテルには見えません。

<廿世紀ホテルは自慢の電灯を盛んに輝かせて、砂埃の舞う夕暮れの烏丸通を明るくしていた。>

かなり詳しいホテルの描写で、モデルがあるに違いないと思うのですが、どこだったのでしょう。



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森見登美彦の人気小説『有頂天家族二代目の帰朝』アニメ版の放映開始

 森見登美彦のベストセラー作品『有頂天家族 二代目の帰朝』は、千年の都・京都で古来より、人に化けて人間に紛れて暮らしていた糺ノ森に住む狸の名門下鴨家の物語。

小説は次のような紹介から始まります。
<面白く生きるほかに何もすべきことはない。まずはそう決めつけてみれば如何であろうか。私は現代京都に生きる狸であるが、一介の狸であることを潔しとせず、天狗に遠く憧れて、人間を真似るのも大好きである。この厄介な性癖は遠い御先祖様達から脈々と受け継がれてきたものに相違いなく、今は亡き父はそれを「阿呆の血」と呼んだ。>

 前作にも劣らない感動物語になっていますが、そのアニメ版がKBS京都で放映開始されました。

第一話は小説の第一章と同じく「二代目の帰朝」。

 小説は五月の出来事から始まりますが、この時期賀茂川堤の桜は外せず、アニメでは桜満開の映像です。


<その洋風天狗は外国人めいた風貌の白皙の美男子であり、時代錯誤な新帰朝者ぶりがとてつもなく目立っていた。艶々と輝くシルクハット、ぴったりと身体に合った三つ揃いの黒の背広、石膏のごとく白いワイシャツと黒い蝶ネクタイ、革の手袋に包んだ細い手にはステッキを持っている。そもそも天狗は年齢不詳の存在だが、人間でいえば三十代後半ぐらいの年恰好に見えた。水も滴るいい天狗である。>

格好良く登場する二代目ですが、アニメでは三つ揃いの黒い背広は白いフロックコートに変わっていました。

 赤玉先生と二代目は百年前の大正時代に、ある事情で大喧嘩したのです。その事情とは、
<そこに現れたのがひとりの女性である。当時、時計台をもつ西洋風のホテルが烏丸通りに忽然と出現した。彼女はその「廿世紀ホテル」の持ち主である戦争成金の箱入り娘であった。二代目は一目見るなり熱烈な恋に落ちたのだが、そこに赤玉先生が「魔道を踏み外した弟子を懲らしめる」と言ってちょっかいをだしたのである。>
 ここに登場する西洋風のホテル「廿世紀ホテル」のモデルとなったのはどこのホテルだったのでしょう。
 その頃は京都ホテルと都ホテルくらしかなかったのですが、場所は河原町御池にあった京都ホテルの方が近そうです。
 建物は、時計台はありませんがレストラン菊水をモデルにしたのではないでしょうか。

 レストラン菊水は、大正5年瓦せんべい屋を手広くやっていた“ハイカラで新しもん好き”の初代・奥村小次郎社長が、ハイカラな西洋館でおいしい西洋料理を食べてもらい、「お客様に喜んでもらって、感動させたい」という強い思いで菊水館の創業を決意し、建物は大正15年に完成しました。平成8年に国登録文化財に指定されています。

<燦然と輝く夜のホテルを舞台に繰り広げられた恋の駆け引きはもつれにもつれ、少年時代から膨らみ続けてきた二代目の癇癪玉はついに爆発炎上した。父と子、東山三十六峰を震撼させる大喧嘩は三日三晩続いたという。>

<しかし亀の甲より年の劫、赤玉先生は荒ぶる獅子のごとく、二代目を南座の大屋根から四条通へ蹴落として、勝利の雄叫びを上げた。敗北した二代目は雨に打たれつつ、暗い街を抜けて姿を消した。以来百年。
大英帝国から帰朝して故国の土を踏んだ如意ヶ嶽薬師坊二代目は、河原町御池の京都ホテルオークラへ威風堂々と入場した。>

 河原町通りにある京都ホテルオークラが二代目の宿泊先となっていることから、やはり「廿世紀ホテル」は京都ホテルをモデルにしたのかもしれません。


京都の馴染みある風景が舞台となっている、『有頂天家族』です。

「有頂天家族」のキャラクターたちが「京都特別親善大使」に就任したのを機に、スタンプラリーも開催されています。




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京都寺町通のスマート珈琲店(森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』)

 森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』は宵山の京都を舞台にした物語。

 

そこに登場する昭和7年創業という歴史ある「スマート珈琲店」を訪ねてみました。


<寺町通を北に行ったところに「スマート珈琲店」がある。小和田君は呟いてみた。「充実した土曜日の朝は、熱い珈琲とタマゴサンドウィッチから始まる。」これは研究所の上司、後藤所長の主張である。
 京都市内で独身生活をしている後藤所長は、みずからの生活を律するために「朝のプロコトル」と呼ぶものを大切にしていた。それは充実した一日を始めるための手順が箇条書きになったリストで、平日用と休日用が用意されている。休日用のプロコトルには。「寺町通の『スマート珈琲店』へ出かける」という項目があった。三年前に所長が京都に赴任してきてからというもの、プロコトルは何度も改良されたけれども、「スマート珈琲店」の地位は不動であるらしい。>

 

 祭日でしたので、店先には行列ができていましたが、少し待って入ることができました。

 

店内に入ると、小説に書かれている通り、珈琲の良い香りが充ちています。

<「スマート珈琲店」の店内には革張りのソファがならんでいて、珈琲の良い香りが充ちていた。休日の朝の有効活用を志す人々がくつろいでいる。小和田君は、ぶ厚くほくほくした玉子焼きがはさまったサンドウィッチと、熱い珈琲を注文した。
 朝の珈琲店の静けさに身をゆだねていると、頭がぼんやりとして、今にも気を失いそうなほど眠くなってきた。>

 

私たちは遅いランチのため二階へ。
ランチメニューも人気のようです。
「メインディッシュは下記メニューの中から2品お選びください。」 とあり、今回選んだのは、クリームコロッケとポークカツ。


評判どおりの美味しさでした。

 

 ホームページには次のように紹介されており、創業当初は「スマートランチ」という名前だったそうです。
<1932年(昭和7年)に「スマートランチ」を創業。
「スマート」というネーミングには、「気の利いたサービス」という意味を込めております。
戦後、「スマートランチ」は「スマート珈琲店」に社名変更致しました。
現在も「創業当時から変わらぬ自家焙煎オリジナル珈琲豆を」と・・・>
http://www.smartcoffee.jp/about


食後の自家焙煎オリジナル珈琲にも満足できました。



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おはようございます。
昨晩のスーパームーン、思わずしばし見入ってしまいました。

「三月書房」に向かうとき、いつも前を通りますが、そんな人気店と、ついぞ知りませんでした。
今度はぜひ、おじゃまさせていただきます。

[ 373 ] 2015/09/29 6:19:55 [ 削除 ] [ 通報 ]

373さんおはようございます。私の周りのテーブルの人たちも、何かのガイドブックを見て来られたようでした。店に入ったとたんに珈琲のいい香に包まれました。

[ seitaro ] 2015/09/29 7:34:04 [ 削除 ] [ 通報 ]

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森見登美彦氏が一人ボンヤリ妄想をしていた京大北門前の進々堂へ

 森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』に登場する今出川通り沿い、煉瓦造りの瀟洒な洋館のcafe進々堂に行ってまいりました。

 昭和5年創業、元祖・学生街の喫茶店とのこと。


 『夜は短し歩けよ乙女』は、山本周五郎賞受賞した作品で、京都大学や周辺地域を舞台にして、さえない男子学生と無邪気な後輩女子学生の恋物語。


 京都の馴染みの場所が次々と現れるので、京都散策にはもってこいの小説です。
進々堂は小説の最後の大団円の舞台となります。


<やがて私は喫茶店「進々堂」までやって来ました。緊張しながら喫茶店の硝子扉を押し開けると、別世界のように温かくて柔らかい空気が私を包みました。薄暗い店内には、黒光りする長テーブルを挟んで人々が語り合う声、匙で珈琲をまぜる音、本のページをめくる音が充ちています。


 先輩は今出川通に面した席に腰掛けていました。
窓から射し込む冬の陽射しが、まるで春のように、温かく見えました。その陽だまりのなかで、先輩は頬杖をついて、なんだかお昼寝途中の猫のようにぼんやりとしています。その姿を見た途端、私はふいに、お腹の底が温かくなる気がしました。まるで空気のように軽い小さな猫をお腹に載せて、草原に寝転んでいるような気持ちです。>

今出川通りとは反対側に在る中庭も春になれば賑わうことでしょう。


『登美彦氏、京都をやや文学的にさまよう』という自らのエッセイでも進々堂が登場します。


<京都大学のそばに「進々堂」という喫茶店がある。登美彦氏はその店の薄暗い隅に腰掛けて手拭いを使っていた。大きな硝子窓の外は八月の陽射しが照って、今出川通りはぎらぎらしている。登美彦氏は煙草を吸いながら、「進々堂で構想を練っているのだぞ」という顔をした。顔のことばかり気にかかって、考えはまとまらなかった。
 喫茶店で構想を練るというのは、登美彦氏の憧れであった。学生時代は喫茶店の珈琲代を惜しんで、もっぱら四畳半に籠もって珈琲を沸かした。>


 登美彦氏、私より二まわり以上若いのですが、他の作品にも描かれている学生時代の様子はなんとなく似ていて、親しみが持てます。

 



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外国人観光客人気No.1の伏見稲荷大社に参拝

 2014年外国人観光客の人気No1だったという伏見稲荷に参拝しました。


今年は本殿で御祓いをうけたあと、千本鳥居をくぐりぬけ、稲荷山山頂の一の峰「末広大神」を目指しました。

 

 境内案内図と稲荷山名所図絵を比較するとよくわかりますが、千本鳥居などは麓の部類、山頂(233m)まではアップダウンもあり、ちょっとしたハイキングです。


 外国人観光客に混じって、覚悟を決めて末広大神を目指します。

 


頂上に向かう分かれ道の四辻からの景色。

 


最後の心臓破りの階段を一挙に上り、頂上へ。

 


ようやく稲荷山山頂の末広大神にたどりつき、しっかり参拝してまいりました。

 
 でも最近何故こんなに外国人観光客に人気がでてきたのでしょう。


アーサー・ゴールデン原作の京都祇園の芸者をモデルとした2005年の映画『SAYURI』では、主人公SAYURIが少女の時、千本鳥居を願い事をするため走り抜けていくシーがありましたが、一役かっているのでしょうか。


京都を舞台とした小説を書いている森見登美彦の怪異譚『きつねのはなし』では、こんな風に描かれています。


<どうして母と二人だけでお稲荷さんにお参りしたのか覚えていません。私がまだ小さい頃のことです。母に手を引かれて、どこまでも続いているあの長い鳥居の列をくぐって、森に入り込んでいきました。そのとき、母はその狐の面ををぶらさげていました。峠の茶屋で休んだときに、他のお客さんが忘れていったのを貰ったのだったと思います。まだ夏の盛りでしたけれど、お稲荷さんの森に入るとなんだか身体が濡れてくるみたいに空気が冷たくて、ずっと首筋がぞくぞくしていたのを覚えています。>

外国人もやはり、朱い鳥居と、神使の 白い狐の神秘性に魅かれるのでしょうか。



きつねのはなし
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伏見稲荷まだ行ったことがないのですが、きつねのはなし 面白そうですね。

[ ふく ] 2015/01/17 20:25:58 [ 削除 ] [ 通報 ]

「きつねのはなし」は短編なのですぐに読めました。森見登美彦氏は最近知った作家で、まだ作風をよく知りませんが、「有頂天家族」なっどはアニメにもなっており、ライトノベルに近いところがあるのかもしれません。

[ seitaro ] 2015/01/17 21:49:06 [ 削除 ] [ 通報 ]

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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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