阪急沿線文学散歩

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原田マハ「希望のギフト」は甲山のテニスクラブが舞台

 原田マハ『スイート・ホーム』の第三章「希望のギフト」の舞台は西宮市にある甲山の中腹、会員制のテニスクラブ。 

<九月下旬、まだまだ夏の暑さが残る午前中。それでも五ヶ池を吹き渡ってくる風は、頬に心地よい。「そろそろ休憩しようかあ」テニスコートのネットの向こうで、真君が大きな声で言った。私は、テニスのラケットを振り上げて、「うん、ええよー」と応える。>
このテニスクラブは「阪急仁川テニスクラブ」に違いありません。

黄線で囲んだ所が仁川テニスクラブ、その向かいの黄色の矢印のところが五ヶ池です。

テニスクラブの前にある五ヶ池には昔は写真のように貸ボートが浮かんでいました。

しかし現在は金網に囲まれ、近づけなくなっています。

金網越しに見る五ヶ池は、なんだか狭くなった感じで、どうも一時心霊スポットになっていたようです。

<西宮市にある甲山の中腹、会員制のテニスクラブで、真君と私は、週末恒例のプレーを楽しんでいた。私の彼、明野真君。甲山を背景にしたうつくしいキャンパスで有名な関西学院大学、社会学部で講師を務めている。このテニスクラブで知り合って、一年まえからおつきあいを始めた。>

原田マハさんの出身大学、関西学院も登場です。

<私の職場は西宮北口にあるし、真君の大学は阪急今津線の甲東園にあって、毎日会おうと思えば会える距離だが、週末に一緒に甲山のテニスクラブへ出かけて、思いっきり汗を流して、宝塚や夙川、芦屋なんかで食事をするのが、このところの定番になっていた。>
阪神間に住む若者の理想的なデートコース。プロポーズの場所は宝塚ホテルでした。
午前中はテニスで汗を流した二人は、遅めのランチに宝塚(の)ホテルのフレンチレストランに寄ります。

<デザートの段になって、思いがけないサプライズがああた。サービススタッフが運んで来たデザートのお皿を見て、私は、目を丸くした。お皿に載せられていたのは、小さな「クロカンブッシュ」だったのだ。小振りのシュークリームを山型に重ねて、飴で固めたスイーツ。ときどき、「スイート・ホーム」にも依頼が来て、お父さんが特別に作っているから、よく知っている。そう―これは、フランスのウェディング・ケーキ……!>

これが真君からのプロポーズ。はるは黙ったままで、こくんとうなずいたのでした。
さすが女流作家が描くプロポーズシーンでした。





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原田マハ「あしたのレシピ」クライマックス場面は山手台北公園

 原田マハ『スイート・ホーム』の第二話「あしたのレシピ」は、35歳独身でオアシスキッチンの講師をしている未来先生と、29歳ウエブデザイナーの辰野始との恋の行方は、ペーソスと希望の入りまじったお話に仕上がっています。

 
 洋菓子店「スイート・ホーム」で未来と辰野始は偶然出会い、辰野はオアシスキッチンの生徒となります。更に、未来は考えだしたレシピを記録するためのウェブサイトのデザインと運営を辰野始に頼み、しばしば会うようになります。

<「スイート・ホーム」で会うことが多いけれど、最近は、この街のあちこちで会っている。「オアシスキッチン」はもちろん、そのかたわらにあるテラス席、小径のベンチ、それに遠くの海まで一望できる丘の上の公園。>

宝塚山手台の阪急オアシス。

店内から見たテラス席です。

オアシス前の中央公園のベンチにも二人は座ったことでしょう。山手台の人たちの憩いの場所になっています。

 色々思い悩んだ末、陽皆の後押しもあり、未来は辰野に告白すると心に決めます。

その場所は、未来のいちばんお気に入りの場所、山手台北公園。

<辰野君と私は、丘の上の公園に来ていた。春と、夏と、そして秋と。この場所に、私たちは何度もやってきた。「オアシスキッチン」に辰野君が通い始めた頃、この街の風景が気に入っている、という彼に、「ほな、私のいちばんのお気に入りの場所に連れていってあげるよ」と誘たのがきっかけだった。初めてここへ連れてきたとき、辰野君は、広々とひらけた風景を眺め渡して、「うわー!」と声をあげていた。「気持ちいいっ」と背伸びして、深呼吸をした。>

この階段を登りきると、大きな青空と素晴らしい景色が広がります。


第一章の「スイート・ホーム」でも山手台北公園は陽皆と昇のデートコースでした。
<街の中でも、もっとも見晴らしのいい公園に、昇さんと私は来ていた。「うわ。めっちゃ見晴らしええなあ。大阪のずっと向こうの方まで見えるわ。あっちは、西宮のほうやんな。気持ちええとこやなあ」>

街灯の向こうに、西宮の甲山が見えます。

 さて、ここで未来は辰野始から驚きの告白を聞くことになります。やはり、原田マハさんは恋話の名手でした。


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今、原田マハさんの奇跡の人を読んでいて、いつも電車の中なので、うるっとしてしまい大変です^^;また違ったジャンルのこちらの本も面白そうですね。

[ 西宮パナップ ] 2018/10/12 21:44:27 [ 削除 ] [ 通報 ]

マハさんの「奇跡の人」、まだ読んでいませんが、面白そうですね。私もこちらをトライしてみます。ありがとうございました。

[ seitaro ] 2018/10/13 23:43:45 [ 削除 ] [ 通報 ]

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原田マハ「あしたのレシピ」の舞台は宝塚山手台のオアシスキッチン

 原田マハ『スイート・ホーム』第二章の「あしたのレシピ」の主人公は三十五歳独身でオアシスキッチンの講師を務める未来先生。
 西宮市内の女子大の栄養学科を卒業という設定ですから、武庫川女子大かもしれません。

 未来先生も宝塚山手台の住人。朝の目覚めの様子から始まります。
<ベッドから抜け出し、カーテンを思い切り開ける。目の前がさっと開けて、大きな空と、遠くの海とが見える。眼下には、阪神間の街景色がなだらかに広がっている。朝日を受けて、街全体が輝いて見える。この瞬間が一日のうちで、一番好きだ。>

山手台からはこんな風景が広がっていました。朝の景色はきっと素晴らしいでしょう。

<小径の隣にはスーパーマーケット「オアシス」があり、豊かな緑を眺めるテラスがある。買い物帰りの夫婦や、犬を連れて散歩中の人が、このテラスでくつろぎ、ときにはランチやスイーツを広げておしゃべりする姿も見られる。>

「オアシス」の隣を通る小路です。

その小径と並行して一段高い所に、豊かな緑を眺めるオアシスのテラスがあります。
今日は少し暑いせいか、テラスには誰もいませんでした。

<そのテラスのこちら側には、「オアシスキッチン」がある。スーパーマーケット併設の料理教室で、お店で手に入る食材を使って、気軽に料理を学べる場所となっている。そして、「オアシスキッチン」は私の職場でもあった。>

こちらがオアシスのキッチンスタジオ。料理教室がない時は、このように無料レストスペースとして使われています。

<料理教室「オアシスキッチン」を併設しているスーパーマーケットは、兵庫県と大阪府内に数か所ある。私はこのうち三か所の講師として、打ち合わせも含め、週に五日間
あちこちへ出勤している。>

西宮では甲陽園店でも開かれているようです。

このオアシスキッチンに通い始めたウェブ・デザイナーの辰野始と意外な恋物語が展開するのですが、それは次回に。




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原田マハ『スイート・ホーム』に登場する阪急オアシス

 『スイート・ホーム』で、主人公・香田陽皆がお気に入りの場所「オアシス」へ行く場面が描かれています。

宝塚山手台のスーパー・マーケット阪急オアシスは、山手台中央のバス停から少し上がった所にあります。


<テラスのあるスーパー・マーケット「オアシス」も、お気に入りの場所だ。サンドイッチとカフェラテを買って、お店の外にあるテラスのテーブル席に座り、のんびりと、ひとりブランチを楽しむ。テラスの横には並木の美しい小路があり、犬を連れた夫婦がゆっくり歩き、子供たちが元気よく走っていく。>

こちらが、お店の外にあるテラスのテーブル席です。
ここで陽皆はブランチを楽しむのがお気に入りです。

そして、テラスの横にある並木の美しい小路は、ここに住む人たちの絶好の散歩道となっており、小説通りの風景が広がります。

 陽皆が、結婚を約束した山上昇と、このあたりを歩く場面からです。
<私たちは、三時間余り街中を散策した。私の好きなスポット −公園、歩道橋、小路、そして「オアシス」のテラスなどをめぐり、頭上の緑を仰ぎ、足下の花々を眺めた。犬の散歩をするご近所の住人、料理教室の未来先生と仲間たちに挨拶をした。偶然出くわしてしまったチョビちゃん連れの工藤さんには、あれこれと詮索されてしまったが、工藤さんはどことなくうれしそうだった。「すてきな人やないの。がんばりなさいよ」と囁いて、チョビちゃんのリードを引いて、夕焼けの道を歩いて行った。>

陽皆が好きなループ橋から見たオアシス。

 オアシスの西側は緑が広がる山手台中央公園となっています。

写真でお分かりのようにオアシスのテラスは中央公園を見下ろす絶好の場所にあります。(写真中央)

中央公園では四季折々の景色が楽しめそうです。



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原田マハ『スイート・ホーム』の洋菓子店のモデルを発見!

 原田マハ『スイート・ホーム』の主人公・香田陽皆の実家は宝塚山手台にある小さな洋菓子店「スイート・ホーム」です。
 駅前のバス乗り場からバスに乗って、二つ目のバス亭・山手台二丁目でバスを降ります。
<バス停で下りたら、最初の角を左に曲がってください。いくつかの角を曲がって、しばらくすると、ふんわり、甘い香りが漂ってくるはずです。クリーム色の壁の家。チョコレート色のドアのそば、大きなキンモクセイの木が目印です。>
そこが陽皆の家、「スイート。ホーム」という名の小さな洋菓子店です

 実際に訪ねてみました。

山手台二丁目の交差点です。
この角を左に曲がって、いくつかの角を曲がってみました。

緑が豊かな高級住宅街。

遊歩道も素晴らしく整備されています。

 しかし、洋菓子店などありそうもなく、「スイート・ホーム」は完全に原田マハさんの創作した洋菓子店と思っていました。

 しかし、先日偶然にも宝塚五月台の「菓子工房みわあおに五月台4丁目」のクラシックマドレーヌをお土産にいただきました。そして、そのオーナーシェフ三輪 青丹氏が元宝塚ホテルの製菓長であったと教えていただき、まさに「スイート・ホーム」のモデルではないかと思ったのです。

正確な住所は宝塚市中山五月台4丁目12-1で、山手台の近くにあります。

赤のポイントマークが「菓子工房みわあおに」で、下側の黄色の丸印が山手台二丁目の交差点でう。

小説『スイート・ホーム』では、次のように書かれています。
<この街に移り住んで五年目、私が中学三年生のときに、父は、それまでパティシエとして勤務していた宝塚にあるホテルを退職し、自宅を改装して洋菓子店を開いた。以来、ご近所の方々、それに大阪のほうからも、こうして買いにきてくれるお客様に恵まれている。>

お店はこのビルの二階です。

外観は小説と違いますが、中に入ってみると、こんな感じです。

<この店の厨房は、お店とのあいだがガラス張りになっていて、ショーケースのこちら側から奥でのお菓子作りが見えるようになっている。逆に、厨房側から店内の様子もうかがえるというわけだ。常連客が来店すると、必ずといっていいほど、パティシエ自ら出てきて挨拶をしてくれる。>
小説通りの店内の様子でした。

 これだけ条件が揃うと、「菓子工房みわあおに五月台4丁目」が「スイート・ホーム」のモデルになったことは、おそらく間違いないでしょう。





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宝塚山手台からの眺望(原田マハ『スイート・ホーム』)

 原田マハ『スイート・ホーム』の舞台となっている宝塚山手台からは、大阪の街や晴れた日には明石海峡まで、素晴らしい眺望が開けています。
 第一章の「スイート・ホーム」の最後では、主人公の香田陽皆と山上昇は宝塚ホテルで挙式するというハッピー・エンドを迎えますが、挙式の前に、山上昇が香田陽皆を丘の上に連れて行きます。


<そうして、私が連れていかれた場所。バス通りをずっと上がった、丘の上のバス停の近くだった。街路へ降り立つと、昇さんは、まだ家の建っていない分譲地の一角へと私をいざなった。そして眼下に広がる街の風景のずっと遠くを指さした。>

 ループ橋から少し上がったところに、山手台三丁目のバス停があり、その東側が現在も広大な分譲地が開発されていました。

 その更に上に山手台北公園があり、一番上まで登ってみました。

眼下に開発中の宅地が広がり、その向こうに大阪の街が広がります。

西は甲山から六甲連山、その向こうに明石海峡まで見晴らせます。

<飛び立てそうに青い空の下、ひとつ、深呼吸をしてから、昇さんが言った。「陽皆ちゃん。いつか、ここに僕らの家を作ろ」今日からふたり、大阪の僕の家で暮らすことになる。でも、いつか、この街に帰ってこよう。自然がいっぱいで、空だってこんなに近くにある。そして君の家族にいつでも会えるこの街に。>

ここで、バーベキューでもすれば最高でしょう。

<はるかに大阪の街と、遠くの海まで見渡せるその場所に、赤い屋根、クリーム色の壁の家を思い浮かべる。大きな、眺めのいい窓のある家。これから移り変わる季節、長い年月、その窓はどんな景色を見せてくれるのだろう。この場所で子供を育てたい。友達を呼びたい。ここで暮らしたい −そう思い描いた瞬間、私はもう、うなずいていた。>

二人はここに家を建てようと誓います。

 それにしても、阪急宝塚線の山本駅からバスに乗って、わずか十分程度でこのような眺望が開けるとは、驚きでした。



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宝塚山手台のループ橋(原田マハ『スイート・ホーム』)

 原田マハ『スイート・ホーム』で宝塚山手台からの眺望が何度も描かれています。
山手台に住む主人公・陽皆が近所に散歩に出かける場面です。

<この街には私の大好きなスポットがあちこちにある。ゆるやかなカーブを描いてバス通りをまたぐ歩道橋。大阪の街、晴れた日には明石海峡まで、広々と一望できる。高台の街ならではの得難い眺望だ。>

バス通りまたぐループ橋は山手中央台と山手三丁目のバス停の中間地点、阪急オアシスのすぐ傍に架かっていました。

ループ橋から西の方を見ると、甲山が見え、山手台小学校では秋の運動会が開かれていました。

ループ橋の東側を見ると、高台の分譲地に新しい家が建ち始めています。

<公園でひと息つくたびに、空って大きいなあ、と実感する。逆に、この空の大きさが私の基準になってしまっているから、高層ビルが立て込む都会の空は、窮屈に感じてしまう。天気のいい日には、この公園に立ち、深呼吸する。ときどき、飛行機が悠々と弧を描いて青空の彼方に消えていくのが見える。>
 山手台にはいくつかの素晴らしい公園が整備されていますが、ここで登場する公園は、ループ橋の西側にある山手中央公園のことでしょう。

高層ビルが見えない、大きな空が見える公園。
三々五々ベンチでお弁当を食べている家族も見かけます。

メタセコイアの木でしょうか、大阪の近郊にいながら、外国に来たような気分になりました。

 この青空に見えた飛行機は伊丹空港の発着便のことだと思いますが、原田マハさんの現地取材、その風景を描写される才能には、小説を読み進むうちに何度も驚かされます。





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原田マハ『スイート・ホーム』がある街、宝塚山手台へ

 原田マハの『スイート・ホーム』を読んで、小さな洋菓子店「スイート・ホーム」のある街を是非見たくなりました。
早速、阪急宝塚線で山本駅へ。


 山本駅は宝塚山手台住宅への玄関口で、宝塚市内の宝塚本線の駅では宝塚駅に次いで乗降客数が多いそうです。

駅前ロータリーから山手台行きのバスが出ています。
<大阪・梅田から、山手を走る電車に乗ってきてください。駅前のバス乗り場で、バスに乗って、ふたつめのバス停で下りてください。駅と家とをつなぐバス通り、いつも私が通っている道。私の大好きな道です。>

主人公陽皆の大好きなバス通りです。
陽皆はいつもバスの左側の座席に座るのですが、乗ったバスは空いていて、私は左側の一番前の席に座ることができました。

 梅田の地下街の雑貨屋に勤める陽皆が、早番を終えて帰路に就く場面です。
<駅前からバスに乗って、ふたつめのバス停まで。ゆるやかなカーブの坂道を、ぐんぐんバスが上がる。>

うまく設計されたゆるやかなカーブの坂道が続き、ケヤキ並木と石垣が高級住宅街の雰囲気を漂わせています。

<途中の橋から遠くの街並みが見える瞬間を狙って、私はいつも左側の座席に陣取る。夏ならば燃えるような夕焼けに包まれ、冬ならばとっぷり暮れた空に浮かんでちらちら揺れる街の明かりを眺める数秒間。これを見るたび、秘密の宝箱をのぞき見したような、ちょっと得した気分になる。>

この橋のことでしょう。下は砂防ダムになっていました。大阪平野の景色が広がります。きっと夜景は綺麗なんでしょう。
<バス停で下りると、ひんやりした空気と、緑のにおいに包まれる。青葉の季節なら、こんもり繁る木々を渡る風の音がする。夏の宵には、どこからか虫の声が。秋には、色づく木々の葉が擦れ合う音。冬には、やがてくる春のひそやかな足音が。どこかにひぞんでいる。もうすぐ春なんやなあ。もう夏がきたんやなあ。葉っぱがあ色づいてきたなあ。雪が降りそうな感じやなあ。
 めぐる季節を感じながら、ゆっくりと家路をたどる。梅田からほんの四十分で、こんなふうに自然を体感できる街に、私と、私の家族は暮らしている。>

駅前から二番目のバス停は宝塚山手台二丁目でした。

 バスに乗って宝塚山手台に上って行くと、原田マハさんが描いた通りの風景が広がります。
マハさんは当然この街を取材したと思いますが、四季折々そして昼夜の光景を、長年そこに住んでいたかのように美しく描いています。少ない取材でも、このように描くマハさんの才能には驚きました。




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「阪急宝塚山手台」のPRに原田マハさんまで起用した阪急不動産

 小林一三から続く伝統が、そうさせたのでしょうか。

 
 阪急不動産は開発中の「阪急宝塚山手台」をPRするため、2011年にビッグ・ネームの原田マハさんを起用し、自社HPに、『スイート・ホーム』と題したweb.小説を公開しています。

 創作にあたっては、一般から広く、住まいや家族に関する思い出やエピソードを募集し、それらのエピソードを盛り込み内容をアレンジ・脚色したそうです。
 
 さすが、原田マハさん。心の琴線に触れるストーリーに仕上がり、単なるPR小説に留まらず、2018年3月にポプラ社より刊行されました。

 小説はこんな風に始まります。
<大阪・梅田から、山手を走る電車に乗ってきてください。駅前のバス乗り場で、バスに乗って、ふたつめのバス停で下りてください。>

調べてみると、山手を走る電車とは阪急宝塚線のこと。

宝塚山手台の最寄りの駅は山本駅でした。

 駅前のロータリーからバスが出ています。

<駅と家とをつなぐバス通り、いつも私が通っている道。私の大好きな道です。春になれば、バスの窓からやわらかな日が差し込みます。きらきら、街全体が、淡い光に包まれています。初夏ならば、いっぱいの新緑が通りを輝かせています。この季節には、車窓を開けて、深呼吸したくなります。秋にはうつくしく色づくケヤキ並木が目を楽しませてくれます。そして冬、ひんやりと研ぎ澄まされた空気が頬に心地いいんです。>

 この地域の開発は約30年前から始まっているようですが、原田マハさんの文章を読んでいると、PRと知りつつも、あまりにも美しく描かれていますので、小説の街角を追って、地図を見ながら訪ねてみることにしました。続きは後日。




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今年になって「スイート・ホーム」を読みました。
知っている場所が出てくるので親しみを覚えました。

[ 西野宮子 ] 2018/09/30 14:38:00 [ 削除 ] [ 通報 ]

関学や西宮もでてきますね。山手台からの景色、確かめてきます。

[ seitaro ] 2018/09/30 21:22:17 [ 削除 ] [ 通報 ]

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原田マハさんの阪急電車と桜

 原田マハさんは1981年に山陽女子高を卒業して関西学院入学。1985年の卒業時に、就職先がみつからず、そのまま西宮に居残り、バイトをしながら専門学校を卒業され、1986年に東京に移ります。(Naked Maha 原田マハ公式サイトより)

『おいしい水』は関西学院時代の経験をもとに書かれた小説ですが、そこに阪急電車と桜並木の美しさが描かれています。
<高校生の時、大学の下見で初めてここにやってきて、この電車に乗った。電車といえばオレンンジ色や水色の明るく目立つ色、というのが子供の頃からの概念だった。あずき色の電車を一目見て、なんて野暮ったいん、と思った。
 でも、毎週末乗るようになってから、この電車をデザインした人を尊敬するようになった。なぜなら、明るい緑の六甲山を背景に、夙川や芦屋の川辺の桜並木を抜けるとき、あずき色は完全に風景に溶け込んでいるからだ。冬の枯れ木立のあいだにも、この色はしっくりくる。三宮のデパートのネオンですら、この電車によく映えていた。>

 阪急電車と桜、もう葉桜になってしまいましたが、今年も多くの人が甲陽線鉄橋で写真を撮っていました。

こちらは六甲山を背景に、芦屋川の桜並木と阪急芦屋川駅を撮ってみました。

 ところで阪急電車の車輛の美しさは、マルーン・カラーはじめ、私の子どもの頃よりはるかに良くなった気がします。昔は神戸線に新型車輛が投入され、甲陽線や、今津線は使い古しの廃車前と思われるような車輛が走っており、あずき色はくすんでいました。しかし、今やどの路線もいつも新型車輛が走っているような美しさです。
 鉄道関係の方にお話を伺うと、JRや阪神とは車輛を美しく保つポリーシーが全く違うとのこと。塗装も昔と変わっており、4層構造で、上塗りには阪急専用の高価なポリウレタン樹脂塗料が使われているそうです。洗車の頻度は5日に1回ということですので、普通の自家用車よりはるかに美しく保たれています。

「ゴールデンオリーブ」と呼ばれている座席も、不思議なことに傷まずにいつも美しく保たれています。

 大昔には「待たずに乗れる阪神電車」、「いつでも座れる阪急電車」というキャッチフレーズが有名でしたが、今でも、電鉄事業の損益を考えると、乗客数といい、車輛のメンテナンスコストといい、阪神のほうが良さそうです。
そこで昨年度の損益計算書から鉄道事業の営業利益を確認すると、阪急が24,654百万円、阪神が12,127百万円と逆転していました。

それならば、頑張って小林一三の時代に建てられた六甲山ホテルや、宝塚ホテル、宝塚図書館などの名建築を残してくれればよかったのに。




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今から数十年前に学校の先生から聞いた、ウソかホンマか分からん話です。
@阪急電車があの色(マルーン・カラー)にしたのは、車体の汚れが目立ちにくいから。
A特急でも普通でも車両の色を同じ(マルーン・カラー)にしたのは、車両の使いまわしができて経済的だから。
以上2件、眉に唾を付けて読んでください(笑)。

[ 西野宮子 ] 2018/04/07 14:16:06 [ 削除 ] [ 通報 ]

えーっ、そんなお話があったのですか。面白い。

[ seitaro ] 2018/04/07 17:00:43 [ 削除 ] [ 通報 ]

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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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