阪急沿線文学散歩

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毎日新聞阪神版に椹野道流さんの特別展の記事が掲載

 本日の毎日新聞朝刊に芦屋市立公民館展示場での特別展の記事が掲載されました。
https://mainichi.jp/articles/20170831/k00/00e/040/195000c

山本愛記者による記事です。
<兵庫県芦屋市在住の医師で、作家の椹野道流(ふしの・みちる)さんの小説に描かれた芦屋市内の場所を撮影した写真と著書の特別展示が市業平町の芦屋市民センターで開かれている。阪神芦屋駅周辺が舞台の「最後の晩ごはん」シリーズ(角川文庫)は6月に8作目が刊行され、今後も続く予定だ。「展示をきっかけに親近感を持って作品も読んでもらえたら」と話す椹野さん。自分の住み慣れたまちをどんな気持ちで書いているのか尋ねた。>
<特別展示の会場には、「最後の晩ごはん」など約50冊と舞台となった市内の写真20点のほか、「椹野家の住人たち」と題して椹野さんの猫やイモリ、文鳥などのペット写真(5枚)も展示されている。9月1日まで。開館時間は午前9時〜午後9時半。>
全文は上記ウェブサイトで読むことができます。

この記事は椹野道流さんご自身のtwitterでも紹介されていました。
https://twitter.com/MichiruF?lang=ja

残念ですが、椹野道流さんの芦屋市立公民館での特別展は9月1日16時ころ終了いたします。



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椹野道流『最後の晩ごはん』第三話に登場する芦屋の動物病院は?

 椹野道流さんの『最後の晩ごはん』第三話「お兄さんとホットケーキ」で、五十嵐海里の兄の一憲の婚約者で獣医の樫木奈津が登場します。
<ガラリとやけに軽やかな音を立てて、入り口の引き戸が開いた。酷く苛立っていた海里もギョッとして口を噤み、反射的に立ち上がる。片手でのれんを持ち上げたまま、開けた扉から躊躇いがちに顔を覗かせたのは、三十代くらいの長身の女性だった。>
第七話には、緒川千世さんのイラストで、奈津のキャラクターが描かれていました。

長めのボブカットとはこのような髪形のことらしいです。

 海里は夜半を過ぎた「ばんめし屋」に突然入ってきた客に「夜勤の仕事なんですか?」と問いかけます。
<「夜勤は確かにあるんだけど、今日は普通の勤務が長引いただけで……」
海里と夏神は、思わす壁の時計を同時に見上げる。「普通の勤務が長引いてって、もうじき午前二時ですよ?そんなに遅くなる仕事っていったい……」女性はどこかはにかんだ笑みを浮かべ、こう言った。「獣医なの」>
 手術が長引いて、安定してから夜勤の子に引き継いだという奈津に対し、
<「ふわー。マジで大変そう。それって、医院を経営してるってことですか?」「ううん、まだ修業中だから、県立芦屋高校のすぐ近くの動物病院に勤めてるの」それを聞いて、夏神はちょっと驚いたように太い眉を上げた。「県芦の近く言うたら、こっからちょっと距離あるやないですか。わざわざ歩きで?」「いいえ、自転車で、業平町に住んでるから、毎日自転車通勤なんです」>

 さて県立芦屋高校に近い動物病院ということで、「みや動物病院」と推定していたのですが、椹野道流さんに直接伺うことがで、間違いなかったことが確認できました。

 やはり、椹野さんは「みや動物病院」にいつもお世話になっていると話され、宮院長が大変熱心で腕のいい信頼できる獣医であることを話されていました。

 一度内蔵破裂して死にそうになっていた野良猫を連れていき、長時間にわたる手術で命を助けてもらったそうですが、あまりにも先生が熱心に救命したため、医療費はすごくかかかってしまい、さすがの椹野さんも目が点になったとか。でもある程度、減額してもらって分割で支払ったそうです。
 院長先生も椹野さんも動物愛護には、考えられないほど熱心な方たちです。

最後に、芦屋市民センターで開催中の「芦屋のペット大集合写真展」の椹野さんの展示コーナーに飾っている、椹野さんから頂いた直筆のコメントです。



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『最後の晩ごはん』カトリック芦屋教会の隣に「ばんめし屋」がある理由

 椹野道流さんの『最後の晩ごはん』の舞台となった兵庫県芦屋市、夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」はカトリック芦屋教会と芦屋警察署の間にあるという設定です。そこに設定した理由を椹野道流さんからお聴きすることができました。

(写真は8月19日の神戸新聞阪神版に掲載されたもの)

「ばんめし屋」の所在地は、第三話「お兄さんとホットケーキ」の第一章にわかりやすく書かれています。
<兵庫県芦屋市。六甲山と大阪湾に挟まれ、神戸市に隣接するこの小さな街には、東西方向ほぼ並行に、三本の線路が走っている。その中でもいちばん南……いや。ご当地に言えば海手を走る阪神電車芦屋駅からほんの少し北上したところにあるのが、芦屋警察署だ。
 愛想の欠片もない鉄筋コンクリートの建物だが、一角だけは、かつての壮麗な庁舎の玄関部が残されているのが、何とももの悲しく、印象的である。>

椹野さんが説明している芦屋警察署旧庁舎は阪神芦屋駅の北側に建つロマネスク様式の建物。設計は兵庫県営繕課によるもので、当時置塩章が営繕課長を勤めていました。

御影石のアーチ型玄関とミミズクの彫刻。夜行性なので夜警を意味しているそうです。

石造りのアーチの奥に正面入口があります。壁面のエメラルドグリーンのタイルも印象的です。新庁舎では玄関を芦屋川に面した西側に移したため、この旧庁舎玄関は現在、使われていません。

<一方、警察署から芦屋川沿いに北上、すなわち山に向かって歩いて行けば、緑がかった尖塔の屋根が目印のゴシック風建築、カトリック芦屋教会が見えてくる。>

設計は、建築家の長谷部鋭吉氏によるもので、戦後昭和28年に竣工しています。

 椹野道流さんはこの二つの建造物が大好きで、毎日この建物を見ながら仕事ができたら、何て素晴らしいことだろうと、その間の空き地に「ばんめし屋」を設定したそうです。

<そして、そんな二つの対照的な建物の間にある、典型的な昭和の木造二階建て住宅。それこそが、この物語の舞台である。一見、古い民家とおぼしきその家の玄関には、「ばんめし屋」と書かれた木製のプレートが掲げられている。>

 行ってみればわかるのですが、実はこの二つの建物の間には芦屋税務署があるのです。

しかし、『最後の晩ごはん』では、あたかも存在しないように書かれています。
 その建物には椹野さんにとってあまり良くない印象の出来事があったそうで、存在を消し去ってしまったそうです。

 椹野さんがカトリック芦屋教会の建物がお好きな、もう一つ衝撃的な理由がありました。
それは、幼いころ見られたウルトラセブンにカトリック芦屋教会が登場し、その印象が強く残っていたからだそうです。
それは、ウルトラセブンの【第14話 ウルトラ警備隊西へ】1968年1月7日 放送でした。

金髪女性は、ドロシー・アンダーソン(実はペダン星人)。
 ストーリーは、地球がペダン星へ観測用ロケットを打ち上げたことにより、侵略されたと思ったペダン星人が報復を企て、地球防衛軍は六甲山にある防衛センターで対策会議を開こうとしますが、会議に向かう科学者たちが次々と殺されてしまいます。
 この防衛センター入口の外観に使われたのは芦屋市役所でした。

偶然でしょうか、現在芦屋市市制77周年記念事業として「ウルトラセブン芦屋へ」が開催されており、カトリック芦屋教会および芦屋市役所でウルトラセブンミニパネルが展示されています。8月27日(日)には精道小学校で特別上映会が開催されそうです。
椹野道流さんも楽しみにされていました。



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『最後の晩ごはん』の椹野道流さんにお会いできました!

 昨日から芦屋市民センター展示場で始まった「芦屋のペット大集合写真展」に、椹野道流さんのコーナーを設け、作品や椹野さんのペットの紹介をしています。


 昨日は椹野道流さんとKADOKAWAの編集者の方にお越しいただき、新聞社やケーブルテレビのインタビューを受けていただきました。
 椹野道流さんは、私にとって最初は男性か女性かもわからない謎の作家でありましたが、「ダ・ヴィンチ」の記事等で女性作家であると知り、少しずつヴェールがはがされてきました。
気難しい作家ではないかと心配していたのですが、記者の質問にも大変フランクにお話いただき、安心いたしました。
会場には椹野さんの到着前から多くのファンの方が集まっており、親しくお話され、ファンの方がそれぞれ持参した著書にも快くサインされ、皆様喜んでおられました。
当日の様子が本日の神戸新聞に掲載され、インターネットでも読むことができます。


https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/201708/0010477310.shtml



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椹野道流『最後の晩ごはん』に登場する芦屋市内の舞台をまとめました

 椹野道流『最後の晩ごはん』は芦屋警察署と税務署の間にある「ばんめし屋」から話が始まります。

そして舞台はほとんどが芦屋市内。
シリーズ第1弾から第8弾までに登場した芦屋市内の舞台をまとめてみました。

それぞれの舞台の写真と小説の引用文につけた番号は、芦屋市街地図に示した番号と一致しています。





















椹野道流さんは私にとって謎の作家でしたが、芦屋市在住の麗しき女性であり、

Wikipediaで調べると、「日本の法医学者・小説家。兵庫県出身。デビューから数年はとある医科大学の法医学教室に籍を置く、非常勤の監察医だった。現在は専門学校で教壇に立つかたわら、作家活動をしている。特技は一弦琴。中原中也が好きで、ペンネームの「椹野」は椹野川に由来する。」と書かれています。
 とある医科大学とは武庫川にある兵庫医科大学のようです。
また、椹野さんのTwitterでは、いつもペットの猫、文鳥、イモリを紹介されており、8月18日から芦屋市民センター・公民館展示場ではじまる芦屋のペットの写真展にも、椹野さんのペットの写真を提供いただきました。

 写真展初日18日の15時ごろ、椹野道流さんご本人に展示場に来ていただけることになりました。
椹野さんのペットの写真のみならず、作品紹介のパネルも展示しています。
椹野さんからはどのようなコメントをいただけるのでしょう。



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西宮が『最後の晩ごはん』第7話のクライマックスシーンに登場

 椹野道流『最後の晩ごはん』第7話「黒猫と揚げたてドーナツ」では、五十嵐海里は里中李英に頼まれ、事故死した遺品整理を手伝うことになり、そこでオルガニート用のカードについていた黒猫の幽霊に気づきます。


 クライマックスシーンで、事故死した飼い主の山崎敦の霊と事故現場で海里とロイドは会話することになるのです。
<「現場は、市役所の近くだったよな。確かお寺の角を曲がった、やたらでっかい木が見えるあたり……」『楠でございましたよね』ポケットの中から、ロイドが情報を補足する。そうだっけ、と気のない返事をして、海里は少しスピードを落として辺りの景色をチェックした。なるほど、前方の対向車線側、道路から少し南に入ったところに、黒々と大木のシルエットが見えてくる。ちょうどそこでガードレールが切れていたので、海里は道路を右折して、スクーターを停めた。>

海里とロイドはスクーターで芦屋から国道2号線を東に走って来て、センターのガードレールが途切れる、上の写真の角を右に曲がるのです。

最初は市役所の近くの寺と楠から海清寺を想像したのですが、よく読むと事故が起こったのは茂松禅寺の角でした。

茂松禅寺も、その位置からわかるように元々は臨済宗東福寺派の六湛寺の一塔頭だったそうです。

<暴走した自動車が国道を外れて飛び込んだのが、この楠の大木がある禅寺沿いの脇道だった。寺の名前と、石垣の上にある白い塗り壁に見覚えがある。脇道沿いにある寺門の石造りの階段が、夜目にも明らかに欠けているのは、おそらく自動車がぶつかったせいだろう。>

楠の大木と茂松禅寺の寺門の階段です。
 もちろん、実際には事故は起こっていませんから、階段も欠けてはいません。

楠の根は道路まではみ出しているので、このような石垣で守られていました。元々はこの道も六湛寺の中だったのでしょう。

<何げなく通りの反対側を見た海里は、思わず「わあ」と声を漏らした。ニュースではそちら側の建物はあまり映っておらず、駐車場しか見えなかったのだが、そこは大きな病院だった。つまりタクトの飼い主である山崎敦は、病院の真ん前で、車に撥ねられて命を落としたといことになる。>

向かいにあるのは、兵庫県立西宮病院の大きなビルでした。

<背後を振り返れば、寺の立派な木製の扉は、固く閉ざされている。階段は石垣より内側に引っ込んで設えてあるので、階段に座れば、ひとまずは表通りからの視線は遮れそうだ。
「ここがまだ、いちばんマシだな」小声でそう囁くと、たちまち人間の姿になったロイドが、海里の隣に現れ、微妙な距離を空けて石段に腰を下ろした。>

この石段で、海里とロイドはオルガニートを鳴らし、山崎の霊を待つのです。

芦屋が主な舞台の『最後の晩ごはん』シリーズですが、7話目にしてようやく西宮が登場しました。



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椹野道流『最後の晩ごはん』第六話は奥池のお邸が舞台

 椹野道流さんの『最後の晩ごはん』第六話「旧友と焼きおにぎり」は芦屋の奥池に豪邸に引っ越してきた木版画家の西原アカネが子供の頃から毎晩見ていた夢のおはなしから始まります。


 今回舞台となっている奥池は椹野道流さんがお住まいの場所ではないでしょうか。
 小説では芦屋警察署の刑事、仁木涼彦と主人公五十嵐海里が車で六麓荘と並ぶ山の手の高級住宅街という奥池に向かいます。

<海里は再びヘッドレストに頭を預ける。何度目かのヘアピンカーブを曲がった後、目の前に、コンクリート製のゲートのようなものが見えてきた。「あれ何?」涼彦はこともなげに答える。「料金所だよ。あそこから先は、芦有ドライブウェイになる。六甲山や宝塚や有馬へ続く有料道路だ」>

 航空写真で見ると、細長い芦屋市行政区域で、山の中に奥池の高級住宅街が広がっていることがよくわかります。赤矢印で示したところが芦有ドライブウェイの料金所です。
<海里は、驚いて目を丸くした。「へ?待ってくれよ。一本道だろ、ここ。それなのに、いきなり有料道路?あ、住人はタダなのか」「いや。住人も、割引とはいえ定期券を買うらしいぞ」「マジか!家に帰るたび、お金がかかるってこと?すっげえな!」「本当かどうかは知らんが、家に帰る唯一のルートが有料道路なのは、日本でもここだけって話だ」>
1961年に開通した有料道路ですが、いったいいつになったら公道化されるのでしょう。

 二人は更に芦屋ハイランドに向かいます。

<一方通行のやや細い道を通り、さっきまで走っていた芦有ドライブウェイの下を潜ってしばらく行くと、車はいよいよ住宅街に差し掛かった。「ここが奥池?絵にかいたようなお屋敷だな!」ヘアピンカーブから解放され、まだ顔色は悪いものの、海里は少し元気を取り戻して窓の外を眺めた。山の中腹を切り開いて造成した住宅地は嫌というほど緑に包まれていて、土地の区画がとにっかく大きい。建ち並ぶ住宅も、まさに邸宅と呼ぶべき立派な建物が多い。建築家が意匠を凝らしたと思われる奇抜なデザインのお屋敷も、あちらこちらにあった。>
山の中、奥池湖畔に閑静な住宅街が広がります。

「奥池南町のまちづくり」という掲示板がありました。

<目の前にある家は、他の家々とはちちょっと毛色が違うようだった。敷地は他と同じく広いのだが、外周がぐるりと背の高い生け垣に取り囲まれ、まるでちょっとした雑木林のようだ。デコラティブな模様のある鉄製の門扉から中を覗くと、生け垣だけでなく、庭木もかなり奔放に茂っているのが見える。そんな木立の中に煉瓦を土に埋めて造った通路があり、それが敷地の奥まったところにある家の玄関へと続いていた。>
この光景はひょっとして椹野さんのご自宅をモデルにして書かれたのでしょうか。

そういえば、ギャラリー「藤本義一の書斎 Giichi Gallery」も奥池にあります。

安藤忠雄設計のコシノヒロコさんの旧自邸も奥池にあり、現在はKHギャラリー芦屋として公開されています。

さて帰りに二人は展望台に立ち寄ります。
<芦有ドライブウェイに戻ったところで、涼彦はふと思いついたように口を開いた。「お前、こっちに来たことがないんなら、ここからの夜景も見たことがねえのか。ついでだし、ちょいと寄り道して見ていくか?」そして、海里の返事を待たずに、帰り道とは反対方向、つまりさらに山に登るほうへハンドルを切った。>

<涼彦は、目の前に広がる景色を、少し自慢げに指さす。手すりがあることころまで行き、並んで立った海里とロイドは、感嘆の声を上げ、目と口を大きく開いた。六甲山系から望む景色は、よく「百万ドルの夜景」と表現される。だが、目の前の光景の価値は、百万ドルどころではないと海里は思った。さっき後にしてきた奥池の向こうに広がるのは、まさに光の海だ。無数の金色や銀色の光の粒が、隙間なく敷き詰められている。その合間に、赤や緑の光がちりばめられていて、まるでファンタジー映画によく出てくる、海賊の宝箱をひっくり返したようだった。>
この展望台まで上って来ると、もう西宮市に入っています。
きっと夜景は椹野さんが描かれているように素晴らしいことでしょう。


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三宮一貫楼も登場する『最後の晩ごはん』おにいさんとホットケーキ

 椹野道流『最後の晩ごはん』の3作目、「おにいさんとホットケーキ」では、主人公五十嵐海里の兄一憲の婚約者賢木奈津が登場し、兄弟の和解に大きな役割を演じます。


 奈津は業平町に住み、県立芦屋高校のすぐ近くの動物病院に勤めているという設定。


調べてみると、県立芦谷高校のすぐ近くには、「みや動物病院」があり、口コミでは評判のいい動物病院です。

椹野道流さんは、Twitterでは猫を2匹飼われているようなので、この病院をご存じなのかもしれません。

 海里が奈津を誘ってでかけたのは三宮一貫楼。私も一貫楼の豚まんは大好き。

<JR元町駅のすぐ近く、通りに面する店の中では、職人が鮮やかな手つきで豚まんを包んでいるところをガラス越しに見ることができる。週末ということもあり、店の前には豚まんを求める人々の長い列が出来ていたが、店内の席はまだそれほど混みあっておらず、二人は一階の窓際の席に落ち着いた。>

一貫楼のエビ入り玉子めしも外せないようです。
<メニューを眺め、長い相談の末に決めたオーダーは、本家本元の味を確かめるべくエビ入り玉子めし。それから揚げワンタン野菜あんかけ、冷菜盛り合わせ、焼豚、それに豚まん一つを半分こ、であった。>

豚まんの味はこんな風に説明。
<さっそく熱々の豚まんを半分に割り、からしを少しつけて頬張った二人は、ほぼ同時に満足の声を上げた。「んー、美味しい!」「旨っ。タマネギ、やっぱ甘い」ふわっとした皮の中には、豚肉とタマネギがぎっしり詰まっている。大きめに刻んだタマネギの甘みが豚肉の脂に馴染み、実に優しく豊かな味である。>

 第二話に引き続き、この第三話でも夏神の衝撃の過去がさらに詳しく語られます。
<店の外で海里を待っていた夏神は、目の前の道路を渡った先の芦屋川へ足を向けた。普段の水量は決して多くないが、雨天時は山から大量の水が流れてくるため、河川敷を広く取ってあるのが芦屋川の特徴である。
 日頃は遊歩道になっているその河川敷を山のほうへ向かってゆっくり歩きながら、夏神はしょぼくれた顔で隣を歩く海里の顔をチラリと見た。>

この河川敷を歩きながら壮烈な夏神の過去が語られるのです。
この後、奈津が交通事故にあい、意識を失い、ハラハラドキドキが続きます。


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椹野道流『最後の晩ごはん』第二作の舞台は芦屋市ルナ・ホール

 椹野道流『最後の晩ごはん』第二作「小説家と冷やし中華」では、「ばんめし屋」の上顧客である小説家淡海五朗の妹の幽霊が登場します。


 淡海五朗のかつての教え子が「劇団バーサンズ」を立ち上げ、ルナ・ホールで朗読劇『安寿と厨子王』を上演することになります。
<「そうそう!実は彼女たちがね、来月、発表会を開くんだ」「発表会?朗読の、ですか?」「うん。友達や家族に、自分たちの朗読を聞いてほしくなくなったんだってさ。JR芦屋駅近くにルナ・ホールってあるの、知ってる?」海里はちょっと考えてから曖昧に頷いた。「たぶん、あれのことですよね。国道二号線を超えて、芦屋川ぞいにずーっと上がっていくとある、コンクリートにちょっとツタが張った建物」「そうそう、それ」「結構立派なホールじゃないですか、あそこ」「そうなんですけどね、借りるのはあくまでも小ホールだから、舞台として平台を置いたら、詰め込んでもせいぜい百人くらいしか入らないんじゃないかな。勿論、そんなに人は来ないだろうけど」>

 芦屋川ぞいに立つ、坂倉建築研究所設計のルナ・ホールです。

 写真を撮って気が付きましたが、芦屋市は六麓荘に限らず、市街地の無電柱化を進めているそうで、ルナ・ホールのある芦屋川沿いには電柱がなく、美しい写真が撮れました。

 
 この後、「ばんめし屋」の上顧客である小説家淡海五朗の複雑な出自と、異父兄妹で、高二のときに、居眠りトラックに轢かれて亡くなった妹の純佳の存在が明かされます。
<それから四日後の日曜日。いよいよ、発表会当日である。ルナ・ホールの小ホールでは、貸出時間の午後一時から、夏神と海里、それに淡海が会場設営を始めた。淡海は、数日前のことなど忘れたようなひょうひょうとしたいつもの態度を保っており、夏神と海里も。彼の妹の幽霊については、何一つ口に出しはしなかった。ホールの一角に平台を置いて小さな舞台を作り、舞台と客席に椅子を並べ終わるころ、絶妙のタイミングで本日の主役、劇団の面々が到着した。>

ルナホールの小ホールです。

 壁面が鏡になっており、普段ダンスの稽古などにも使われるそうです。演劇などは、カーテンを閉め、前に平台を置いて、会場にパイプ椅子を並べ上演するそうです。

スポットライトを点けてもらうとこんな雰囲気になりました。
 小説には、借りるときの費用や様子が詳しく書かれており、椹野道流さんは実際にお使いになったことがあるのではないでしょうか。
 第二作は兄妹の互いに思いやる心が描かれた泣けるストーリーになっていました。


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椹野道流『最後の晩ごはん』に登場する芦屋神社

 椹野道流『最後の晩ごはん』の第一話「ふるさととだし巻き卵」で、主人公五十嵐海里が、芦屋神社の近くに住む「ばんめし屋」の上顧客で小説家の淡海五郎に定食を届けるシーンが描かれています。


 深夜に、海里はスクーターで芦屋神社への坂道を上がっていきます。
<そんなことを考えながら坂を上がっていると、左手に石造りの柵のようなものが見えてきた。あっと思うと、すぐにちんまりしたコンクリート製の鳥居があった。夏神に持たされたLEDのハンディライトで照らしてみると、「芦屋神社東参道」と書いてある。うっかり目的の家を通り過ぎ、芦屋神社まできてしまったらしい。なるほど、右手を見ると、公園らしき闇が広がる。>

芦屋神社東参道入口です。

<「行き過ぎた。神社より、ちょこっと下がるんだよな」スクーターを反転させ、今度は注意深く低速で走らせながら、海里はハンディライトを片手に、道路からやや奥まった場所に門扉のある家に、「淡海」という表札がかかっていた。どうやらここが、目指す小説家の邸宅らしい。>

振り返ると、芦屋浜まで見えていました。淡海の邸宅はこの四つ角の下の右手あたりにあるお邸を設定したようです。

芦屋神社については次のように紹介されています。
<「お隣の芦屋神社には、大昔のお墓があるからね〜。ちょっと怖いかもね〜」「ひッ。う、嘘でしょ?」>

芦屋神社には猿丸大夫のお墓もあります。


<「ホントだよ。知らない?芦屋神社の敷地内には、小さな古墳があるんだ。石室だって残ってる。今はその石室には芦屋川のずっと上の方から水神様を移してきて
お祀りしてるんだよ」「へ、へえ……」思わず首を縮こめた海里に、淡海は済まなさそうに片手をひらひらさせた。
「ごめん、ごめん、無駄に怖がらせちゃったかな。嘘、ホントは別に怖くないよ。水神様といえば、田の神、山の神だもの。人間に不可欠な水を恵んでくださる神様だから、君もちょっと外から拝んでいくといい。いい水の流れに乗れるかもしれないよ」>

芦屋市指定文化財になっている境内にある古墳です。


現在は、小説にも書かれているとおり、水神様が移され、祀られています。


 芦屋の丘の上の閑静なお屋敷街にある芦屋神社、文化財もあり、一度お参りされてはいかがでしょうか。駐車場もありました。

 さて、海里は芦屋神社の向かいにある公園で、次の登場人物(とは言わないかもしれませんが)眼鏡の付喪神のロイドに出会うことになります。

公園から不思議な声が聞こえてきます。
<またもや同じ声が聞こえたのは、公園のほうだ。公園内の生け垣沿いに建つ、内部に蛍光灯が点いているコンクリート製の小さな建物は、たぶん公衆便所だろう。そこに誰か入っていて、海里に声をかけてきたのだろうか。>

公園のトイレです。


 助けてほしいというロイドの声に海里は辺りを見回しますが、見つかりません。
<「あなた様の真ん前にございます階段の右手の繁み、その根元を、慎重に照らしてみてくださいませ」「階段……?」確かに目の前には、道路より高い場所に設えた公園に向かう、八段ほどのコンクリート製の階段がある。幅はわりあい広く、中央にはステンレスの手摺りがあった。階段の両側には石垣があり、コンクリートで土留めをして、塀に沿うようにツツジか何かだと思われる丈の低い、刈り込まれた植栽がある。>

小説に書かれている通り8段の階段がありました。

この右側の植栽の根元に捨てられていたセルフレームの丸い眼鏡の付喪神がロイドだったのです。拾われたロイドはこれ以降、海里を主人と呼び、時々人間の姿になって現れます。
このように付喪神が登場するのも、法医学教室の監察医を務められた椹野道流さんの経験から生まれたのでしょうか。



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芦屋神社、杉山平一先生ゆかり(「星」といういい散文詩があります)の神社なので、6・7年前に一度取材に行きました。

[ akaru ] 2017/05/09 8:09:06 [ 削除 ] [ 通報 ]

そうなんですか。今度探して読ませていただきます。
芦屋神社はあまり馴染みがありませんでしたが、なかなかいい神社でした。

[ seitaro ] 2017/05/09 18:07:13 [ 削除 ] [ 通報 ]

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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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