阪急沿線文学散歩

サブURL(このURLからもアクセスできます):http://nishinomiya.areablog.jp/bungakusanpo

遠藤周作『赤ゲットの佛蘭西旅行』と戯曲『薔薇の館』に登場すウッサン師

 遠藤周作『赤ゲットの佛蘭西旅行』に留学でお世話になったウッサンというフランスの神父様の所に毎週フランス語会話を習いに行く話がでてきます。

<この神父様は今は東京の大神学校の副校長をしておられるが、ぼくらは、彼が大好きになりましたね。みんなウッサンとはいわずにオッサン、オッサンと言っていた。彼は生粋のフランスはアンジェ市の生まれを自慢するだけあって、そのフランス語会話教授法たるや、芝居か何かわからない。>
この後、面白いフランス語会話の教授場面が続きます。
そして、感想を次のように述べています。
<ずる休みをすると、オッサンは顔を赤くして、「このナマケモノ!」と覚えたての日本語で怒鳴りつけますから仕方ない。実際、いい、大好きな神父様でしたね。フランス人の善良さ、ヒューマニズム、そういったもの全てを、溢れさすばかりにもっている神父様でした。そのため一同、さらにフランス人が好きになった。>

 アレクシオ・ウッサン神父は1948年に来日し、東京練馬区の大神学校で副校長を務め、関町教会も手伝っていました。


 1958年からは広島の翠町教会に赴任されますが、1963年54歳という若さで、脳溢血の発作により天に召されました。

 この遠藤周作がお世話になり、大好きだったウッサン神父と同じ名前の人物が、『真昼の悪魔』では悪魔と対峙する神父として登場し、戯曲『薔薇の館』にも修道士ウッサンとして登場します。

『薔薇の館』は遠藤周作の追及している信仰の問題が、全て集約されている作品です。

(写真は「薔薇の館」の演出者芥川比呂志と遠藤周作)
その中で、修道士ウッサンは、背負いきれない重荷を負って死んでゆく無力で子供のような修道士として描かれ、遠藤周作は明らかにイエスの像を重ねているのです。


 この『薔薇の館』は堀辰雄の『木の十字架』にも登場するアントニン・レイモンド設計の軽井沢聖パウロ・カトリック教会が舞台のモデルとなっています。

しかし、そこに登場するブルーネ神父の姿は、明らかに夙川カトリック教会の主任司祭で、戦争中に抑留され、終戦後、痛々しい姿で教会に戻りながら恨み言ひとつ言わなかったというメルシェ神父がモデルになっています。

次回は『薔薇の館』についてもう少し説明しましょう。




goodポイント: 0ポイント

このポストをお気に入りに追加 0人がお気に入り登録中
このポストのURL http://nishinomiya.areablog.jp/blog/1000061501/p11590737c.html
遠藤周作 | コメント( 2 ) | トラックバック( 0)

「真昼の悪魔」は読んだことはありませんが、今年の冬にテレビドラマで見ました。
原作と、脚色したテレビドラマは別物だと思うので、いつかは小説も読んでみたいと思いました。

[ 西野宮子 ] 2017/04/20 12:05:21 [ 削除 ] [ 通報 ]

結構怖いお話だったと思いますが、残念ながらドラマは見逃してしまいました。よくご存じですね。

[ seitaro ] 2017/04/20 13:01:09 [ 削除 ] [ 通報 ]

名前   削除用パス  
コメント
※入力可能文字数は1000文字です

■同じテーマの最新記事
遠藤周作をなぐさめたのは阪神間の赤褐色の土
灘中生の憧れのまと佐藤愛子(1970年『神戸っ子』4月号より)
阪神間が好きな遠藤周作は夙川生まれ?
<<新しい記事へ     以前の記事へ>>
このブログトップページへ
seitaroイメージ
阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

カテゴリー一覧

QRコード [使い方]

このブログに携帯でアクセス!

>>URLをメールで送信<<