阪急沿線文学散歩

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椹野道流『最後の晩ごはん』に登場する芦屋神社

 椹野道流『最後の晩ごはん』の第一話「ふるさととだし巻き卵」で、主人公五十嵐海里が、芦屋神社の近くに住む「ばんめし屋」の上顧客で小説家の淡海五郎に定食を届けるシーンが描かれています。


 深夜に、海里はスクーターで芦屋神社への坂道を上がっていきます。
<そんなことを考えながら坂を上がっていると、左手に石造りの柵のようなものが見えてきた。あっと思うと、すぐにちんまりしたコンクリート製の鳥居があった。夏神に持たされたLEDのハンディライトで照らしてみると、「芦屋神社東参道」と書いてある。うっかり目的の家を通り過ぎ、芦屋神社まできてしまったらしい。なるほど、右手を見ると、公園らしき闇が広がる。>

芦屋神社東参道入口です。

<「行き過ぎた。神社より、ちょこっと下がるんだよな」スクーターを反転させ、今度は注意深く低速で走らせながら、海里はハンディライトを片手に、道路からやや奥まった場所に門扉のある家に、「淡海」という表札がかかっていた。どうやらここが、目指す小説家の邸宅らしい。>

振り返ると、芦屋浜まで見えていました。淡海の邸宅はこの四つ角の下の右手あたりにあるお邸を設定したようです。

芦屋神社については次のように紹介されています。
<「お隣の芦屋神社には、大昔のお墓があるからね〜。ちょっと怖いかもね〜」「ひッ。う、嘘でしょ?」>

芦屋神社には猿丸大夫のお墓もあります。


<「ホントだよ。知らない?芦屋神社の敷地内には、小さな古墳があるんだ。石室だって残ってる。今はその石室には芦屋川のずっと上の方から水神様を移してきて
お祀りしてるんだよ」「へ、へえ……」思わず首を縮こめた海里に、淡海は済まなさそうに片手をひらひらさせた。
「ごめん、ごめん、無駄に怖がらせちゃったかな。嘘、ホントは別に怖くないよ。水神様といえば、田の神、山の神だもの。人間に不可欠な水を恵んでくださる神様だから、君もちょっと外から拝んでいくといい。いい水の流れに乗れるかもしれないよ」>

芦屋市指定文化財になっている境内にある古墳です。


現在は、小説にも書かれているとおり、水神様が移され、祀られています。


 芦屋の丘の上の閑静なお屋敷街にある芦屋神社、文化財もあり、一度お参りされてはいかがでしょうか。駐車場もありました。

 さて、海里は芦屋神社の向かいにある公園で、次の登場人物(とは言わないかもしれませんが)眼鏡の付喪神のロイドに出会うことになります。

公園から不思議な声が聞こえてきます。
<またもや同じ声が聞こえたのは、公園のほうだ。公園内の生け垣沿いに建つ、内部に蛍光灯が点いているコンクリート製の小さな建物は、たぶん公衆便所だろう。そこに誰か入っていて、海里に声をかけてきたのだろうか。>

公園のトイレです。


 助けてほしいというロイドの声に海里は辺りを見回しますが、見つかりません。
<「あなた様の真ん前にございます階段の右手の繁み、その根元を、慎重に照らしてみてくださいませ」「階段……?」確かに目の前には、道路より高い場所に設えた公園に向かう、八段ほどのコンクリート製の階段がある。幅はわりあい広く、中央にはステンレスの手摺りがあった。階段の両側には石垣があり、コンクリートで土留めをして、塀に沿うようにツツジか何かだと思われる丈の低い、刈り込まれた植栽がある。>

小説に書かれている通り8段の階段がありました。

この右側の植栽の根元に捨てられていたセルフレームの丸い眼鏡の付喪神がロイドだったのです。拾われたロイドはこれ以降、海里を主人と呼び、時々人間の姿になって現れます。
このように付喪神が登場するのも、法医学教室の監察医を務められた椹野道流さんの経験から生まれたのでしょうか。




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椹野道流 | コメント( 2 ) | トラックバック( 0)

芦屋神社、杉山平一先生ゆかり(「星」といういい散文詩があります)の神社なので、6・7年前に一度取材に行きました。

[ akaru ] 2017/05/09 8:09:06 [ 削除 ] [ 通報 ]

そうなんですか。今度探して読ませていただきます。
芦屋神社はあまり馴染みがありませんでしたが、なかなかいい神社でした。

[ seitaro ] 2017/05/09 18:07:13 [ 削除 ] [ 通報 ]

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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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