阪急沿線文学散歩

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山崎豊子『女の勲章』舞台は甲子園の聖和服飾学院

 山崎豊子『女の勲章』がフジテレビ系列で二夜連続スペシャルドラマとして放映されていました。


 山崎豊子は原作では、聖和服飾学院の場所を甲子園に設定していました。小説『女の勲章』は次のように始まります。
<日輪の型を象って嵌め込んだステンドグラスが、夕陽の直射を受けて、燃えつくような光の輪になっている。大庭式子は、飽かずにそれを眺めていた。>

 スペシャルドラマでも、この小説で大庭式子の心の隅に潜んでいた本能的な欲望に似たものを象徴するというステンドグラスが、日輪ではありませんが見事に創られていました。

 この大庭式子が創立した聖和服飾学院は、甲子園球場から500mほどの住宅街の一角に設定されています。

<郊外の住宅街の一角であるから、陽が暮れかけると人通りが少なくなり、五百メートルほど先の甲子園の浜側からは、潮風が吹きわたり、北側に見える甲子園球場の壁も鼠色に冷えていた。>


 更に場所のヒントになるのは商店街です。
小説の最後で、式子が車で聖和服飾学院に向かう場面からです。
<上甲子園まで来ると、車は国道を逸れ海に向かった狭い道を走り、甲子園球場の裏に出た。海の方から思いがけぬ潮風が吹き付け、人気のない球場の中を不気味な風音をたてて吹き抜けて行くようであった。式子は、運転手に車を停めさせると、そこから自分の学校に向かってゆっくり歩いて行った。五メートル程の道幅を挟んだ商店街を通り過ぎて、学校の前まで来ると、式子は、なぜ、甲子園まで来てしまったのか、何をしようと思って来たのか、しきりに思い返そうといたが、思い返せなかった。>

この商店街、実在するのかと調べてみると、どうも新甲子園商店街のようです。


「新」というもののその歴史は古く、昭和28年に設立され、1960年代頃まで商店街は活況を呈していたそうです。その後、相次いで進出してきた大型店の影響を受けて、苦戦を強いられるようになり、さらに阪神・淡路大震災によって木造の市場は全壊。市場の再建が危ぶまれた中で、土地所有者や商店主らの度重なる話し合いの末、若手商店主たちが中心となって再建されたそうです。

山崎豊子は聖和服飾学院をこの近くの住宅街に設定したようです。(航空写真の矢印あたり)

甲子園球場から500mほどの住宅街という位置関係もぴったりでした。

テレビドラマでは、初代学長を新渡戸稲造が務め、アントニン。レーモンド設計で国の登録有形文化財にも登録されている東京女子大学をロケ地として選んだようです。

東京女子大学の公式アカウントの4月7日のTwitterにその写真が投稿されていました。

https://twitter.com/twcuPR?lang=ja

撮影に使われたのは正門入って左手にある、キャンパスマップでBと示された7号館のようです。


ホームページには次のように説明されていました。
創立初期の建造物のひとつで、現在も教室棟として使用されています。
建築年:1924(大正13)年
平成4年度BELCA賞(ロングライフ・ビルディング部門)受賞
平成10年度文化庁登録有形文化財登録

文化庁登録有形文化財ともなれば、建物に装飾を加えるにも、相当気を使ったのではないでしょうか。

 それにしても山崎豊子の小説のロケは関西でしてもらいたかった。



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山崎豊子 | コメント( 4 ) | トラックバック( 0)


 随分と詳しくお調べになったのですね。読ませて戴き大変参考になりました。

 小説の人物素材として「上田安子さん」についても、参考取材されていたようですね。

[ shiratori ] 2017/05/06 15:38:42 [ 削除 ] [ 通報 ]

東京女子大は以前見学しましたので、映像も興味深く見ておりました。上田安子さんについても少し触れてみたいと思っています。

[ seitaro ] 2017/05/06 19:34:07 [ 削除 ] [ 通報 ]

書題「女の勲章」が毎日新聞紙上に発表されたのが1961年・・・

其れから23年後の1984年、かって女性のみを対象とされていた「宝冠賞」つまり「女の勲章」をめでたく授与された上田安子さん・・・

山崎豊子さんには20年以上も先取れる、予知能力がおありだったのでは・・・偶然とはいえ恐ろしいほどの想像力

[ shiratori ] 2017/05/07 9:31:47 [ 削除 ] [ 通報 ]

そんなことがあったのですか。
ありがとうございました。「宝冠賞」少し調べてみます。

[ seitaro ] 2017/05/07 10:40:55 [ 削除 ] [ 通報 ]

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