阪急沿線文学散歩

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山崎豊子『女の勲章』大庭式子の静養先は旧六甲オリエンタルホテル

 山崎豊子『女の勲章』で、関西デザイナー協会主催の大規模なファッションショウを終えた大庭式子は真夏の間、六甲山のオリエンタルホテルで静養します。

4月15日のフジテレビスペシャルドラマでは、原作のイメージを壊さないよう脚色され、ロケ地はわかりませんが「甲山湖ホテル」として登場していました。

 原作では、ホテルのテラスからの景色が次のように書かれています。
<大庭式子の眼の下に、幾つかの小高い山が淡い稜線を描きながら起伏していた。先程まで濃い山肌を見せていた六甲山脈が、夕陽の陰になって薄く翳りかけ、山裾に続く帯のように細長い街は、まだ夕暮れの翳を受けず、そこだけが切り取ったような明るさで輝き、街の向こうに広がる海も、鏡のような白い光を反射している。>
 このような描写を読んでいると、山崎豊子も六甲オリエンタルホテルに避暑に訪れ、しばらく逗留したのではないかと思ってしまいました。

 六甲オリエンタルホテルは阪神電気鉄道が六甲山開発の一環としてオリエンタルホテルに営業委託して昭和9年に開業したホテルですが、2007年に営業を停止していますが、現在も建物は残されています。

この建物は昭和43年に竣工していますから、『女の勲章』が連載された昭和36年は、まだ山上の趣のある建物でした。


 夏季講習の間、甲子園の聖和服飾学院の運営を任されていた津川倫子も、夏期講習の時間割と教材見本を持って、六甲オリエンタルホテルの式子を訪ねます。

 同じ日に銀四郎も、式子を訪ねて来て、三人はホテルから天狗岩への散歩に出かけます。

<何を思ったのか、銀四郎は、ついさっきまでの冷たさから、急に優しい口調になり、窓の外を見た。先ほどまで、澄んでいた夜気が急に白くぬるみ始め、夕闇の底から瞬いていた街の灯も姿を消し、静かに霧が流れ始めていた。
「きれいだすな。三人で散歩に行きまひょう」「でも、六甲の霧はたちはじめると、とても深くて、こんな日に出かけるのは危ないわ」「せっかく来たんでっさかい、ちょっとだけ出かけまひょう、気を付けて歩いたら大丈夫だす」>

 この散歩道、スペシャルドラマでは甲山湖ホテルの「葉沓の小路」として登場していました。

原作で登場する天狗岩は六甲オリエンタルホテルから南へ300m程度のところにあります。

天狗岩からの夜景は絶景です。

<扉を押して、外へ出ると、樹立の間から霧が白く湧いていた。ホテルの横の小道を折れると、雑木林に囲まれた道が、大きく曲がりながら天狗岩へ行きつく散歩道につながっていたが、霧に遮られて、三メートル先が見えなかった。>

六甲山の霧は有名ですが、関東のどこかと思われる「葉沓の小路」のシーンはどこで撮ったのでしょう。




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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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