阪急沿線文学散歩

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門井慶喜『屋根をかける人』に描かれたW.M.ヴォーリズの結婚式

 玉岡かおるさんの『負けんとき』以来、久しぶりにウィリアム・メレル・ヴォーリズをモデルにした門井慶喜著『屋根をかける人』が刊行されました。


 内容は、次のように紹介されており、早速読ませていただきました。
<「日本人として生きる」ことを選んだアメリカ人建築家の壮絶な一代記
明治末期にキリスト教布教のために来日したアメリカ人建築家、メレル・ヴォーリズ。彼は日本人として生きることを選び、 終戦後、昭和天皇を守るために戦った――。彼を突き動かした「日本」への思いとは。>

 そのなかで、ヴォーリズの人生のハイライトである満喜子との結婚式のシーンを紹介しましょう。やはり小説ですから、明治学院のチャペルで挙式した経緯などは『負けんとき』とは捉え方が異なりますが、結婚式の様子の描き方はそれぞれ興味をそそられます。
 結婚式を挙げたのは、メレル自身が設計した、東京白金台の明治学院チャペル。大正8年6月3日、メレル38歳、満喜子34歳のときでした。

近江八幡の旧八幡郵便局の二階展示場で、二人の結婚式の写真が展示されていました。

<結婚式の二週間前、メレルは満喜子と共に会場の下見をしたのだが、そのときはもう我ながらどうしようもないはしゃぎ声で、「ほら、満喜子さん、あそこに祭壇があるでしょう」「あります」「さっき外から見たとき、ひときわ高い尖塔があったでしょう」「ありました」「あの尖塔の真下がこの祭壇なのですよ」「へえ」満喜子は苦笑いしたようだった。それくらいわかると言いたかったのかもしれない。>

ヴォーリズが設計した明治学院チャペルです。高い尖塔が見えています。

<メレルは天井のあちこちを指さしながら、「天井も、わざと木の骨組みを見せているんですよ。あの木と、あの木は再利用」「再利用?」「旧チャペルの廃材です。いくら好景気の世の中でも、建築費は惜しまなければ」>

チャペル内部の様子です。木の骨組みが見えていて、華美に走らないヴォーリズ建築の設計思想が伺えます。

当日の列席者は、約三百人に及んだそうです。

満喜子の隣に立っているのが、満喜子の兄広岡恵三の妻かめ子です。
 かめ子の実母で、ふたりの結婚をいちばん応援した広岡浅子は、この半年前に腎臓炎の悪化により亡くなっていました。



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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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