阪急沿線文学散歩

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増山実『風よ僕らに海の歌を』にも登場する宝塚ホテル解体・移転

 増山実『風よ僕らに海の歌を』の主人公ジルベルト・アリオッタは、戦後間もなく宝塚にイタリアン・レストラン・アベーラを開いたオラッツィオ・アベーラさんがモデルとなっています。


 第三章「川のほとりのリストランテ」の第2節では、「アベーラ」の近くの宝塚ホテルについて、触れられています。


宝塚ホテルは2020年に宝塚大劇場の隣へ移転することが決まっています。

<宝塚ホテルの取り壊しが決まったそうですな。マサユキさんが、今、お泊りの、あのホテルです。取り壊しは二〇二〇年ですか。宝塚南口の玄関に開業したのが、大正十五年でしたかな。

もう今年で九十年たって、老朽化したため?それは単なる建前でしょう。建物の老朽化なら、外側はそのまま残して、内部の設備を新しく入れ替えればいい。欧米ではみんなそうしています。古い歴史のある建物は、街の顔であり財産やと誰もがわかっているからです。ましてや、宝塚ホテルのような、「モダン」で美しい建物を取り壊すやなんて……。>
ヨーロッパの旧市街の街並みを残す努力を考えると、その通りなのです。

<取り壊した跡地には、何が建つんですか?タワーマンション?いったい、この宝塚に、いくつタワーマンションを造ったら、気が済むんですかね?宝塚ホテルは阪急の小林一三が造ったものです。彼が造った阪急ブレーブスをつぶし、宝塚ファミリーランドをつぶし、今度は宝塚ホテルをつぶすんですね。小林一三は、きっとあの世で泣いています。おれが造った夢の街を、どうするつもりや、とね。
 実はあのホテルは、私の大切な青春の一部でした。それがもうすぐこの世から消えるんですね。>
私のその一人ですが、大切な青春の思い出を持たれている方も多いのではないでしょうか。

 遠藤周作もその一人でした。1965年の随想「想い出すこと」からです。
<もともと話をするのが不得意なのと、講義などは私の本来の仕事ではないので、大抵はお断りするのだが、関西の大学から依頼されると何となく承諾してノコノコ出かけて行く。そしてそれが京都や大阪での仕事であっても事情が許す限り宿は宝塚ホテルにとる。>


 遠藤周作は、仁川に住んでいたころ宝塚文芸図書館に通っていたのですが、その建物(ロンファン)も容赦なく壊されてしまいました。




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増山実 | コメント( 2 ) | トラックバック( 0)

宝塚ホテルは昼間のケーキだったかのバイキングを亡き母が贔屓にしてた時期があり、Uターン就職活動での帰省時に2、3回一緒に行きました。

[ せいさん ] 2017/12/20 22:19:47 [ 削除 ] [ 通報 ]

せいさん懐かしい思い出をありがとうございます。

[ seitaro ] 2017/12/21 15:32:08 [ 削除 ] [ 通報 ]

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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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