阪急沿線文学散歩

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森茉莉さんの「京都のお正月」とは

 早川茉莉編『京都好き』に森茉莉さんのエッセイ『京都・お正月』が収められています。


 森茉莉さんの古都京都のお正月のイメージを代表して語られているのが、北野天満宮の東隣に位置する上七軒のお茶屋「中里」。

<ここに掲げたのは京都の「中里」というお茶屋の門口である。惹きこまれるようになって、私はこの時代のついたお茶屋のたたずまいを見た。色彩もよくて、ほんとうにこの「中里」

という家の前に佇んでも、この写真が立体になって逼ってくるだけで、感じはほとんど違わないだろうと思われるくらいである。しんと底冷えのする、京都の冬の中にしずまりかえったように建っているこの家は、伝統が重みになって上からおさえているように見える>

 読んでいると、森茉莉さんは「中里」の常連であったわけではなく、写真を見ながら、そこの暮しについて想像を膨らませていることがわかります。

<このかわら屋根の下、格子戸の中には京都の人々、ことに女の生活が、何年となくしっくりといとなまれていた、という、生活の滲みのようなものが感じられる。>


 そして見事にそこでの暮らしを言い当てられています。

<ところでこの「中里」の、多分百年くらい前から朝夕、水を替えてはよく揉み洗いした雑巾で、少女(おちょぼというのだろうか?)や女中が拭きこんだ、何年目かには灰汁洗いしているらしい格子戸、板囲いの一部、をみていると、誇りのある芸者(京都は芸妓か?)、女中、お内儀さんが、出入りする店だろうという感じがある。>


最近はあまり見かけなくなった門松についても言及されています。

<この「中里」の戸口の門松のやさしさのある美しさは、素晴らしい。権勢欲をあらわしたような東京の大々しい門松よりもいい。正月の風習の、門松とか、お飾りのようなものは面倒だが、昔のしきたり通りの儀式ばったものの方が情緒がある。>

森茉莉さんが見られた門松と、現在ののものが変わっていなければ、少し小振りの門松が調和がとれていて、お気に召したようです。


 お正月のお茶屋の奥座敷の様子については歌舞伎『廓文章〜吉田屋』の奥座敷の場面を思い出して紹介されていました。


近寄りがたい京都ですが、魅力的。

お茶屋遊びなど、遠い彼方のことでしたが、最近は体験ツアーもあるようです。





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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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