阪急沿線文学散歩

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谷崎潤一郎『細雪』の冒頭の場面が『平成細雪』でも再現

 谷崎潤一郎の名作『細雪』の冒頭は次のように始まります。

<「こいさん、頼むわ。 ── 」

鏡の中で、廊下からうしろへ這入って来た妙子を見ると、自分で襟を塗りかけていた刷毛を渡して、其方は見ずに、眼の前に映っている長襦袢姿の、抜き衣紋の顔を他人の顔のように見据えながら、「雪子ちゃん下で何してる」と、幸子はきいた。>


さて冒頭の名場面、『平成細雪』では、

まず芦屋の蒔岡分家(実は宝塚市雲雀丘花屋敷にある国登録有形文化財の洋館・正司泰一郎邸)


そこで、襦袢姿の幸子が部屋から顔を出して妙子に「こいさん、ちょっと頼むわ」と。


部屋に入ってきた妙子。


鏡を見ながら刷毛を渡す幸子。


『平成細雪』ではここで襟を塗りながら幸子と妙子の話が始まります。


原作に戻りましょう。

<「悦ちゃんのピアノ見たげてるらしい」

 ── なるほど、階下で練習曲の音がしているのは、雪子が先に身支度をしてしまったところで悦子に掴まって、稽古を見てやっているのであろう。悦子は母が外出する時でも雪子さえ家にいてくれれば大人しく留守番をする児であるのに、今日は母と雪子と妙子と、三人が揃って出かけると云うので少し機嫌が悪いのであるが、二時に始まる演奏会が済みさえしたら雪子だけ一と足先に、夕飯までには帰って来て上げると云うことでどうやら納得はしているのであった。>

『平成細雪』でも原作通り、先に見合いの身支度をしてしまった雪子が悦子のピアノの練習につきあっています。

それにしてもリストの難しい曲に挑戦。


<「なあ、こいさん、雪子ちゃんの話、又一つあるねんで」

「そう、── 」

姉の襟首から両肩へかけて、妙子は鮮かな刷毛目をつけてお白粉を引いていた。決して猫背ではないのであるが、肉づきがよいので堆く盛り上っている幸子の肩から背の、濡れた肌の表面へ秋晴れの明りがさしている色つやは、三十を過ぎた人のようでもなく張りきって見える>

原作『細雪』の幸子のモデルは谷崎松子、『平成細雪』で幸子を演じる高岡早紀はすでに45歳ですが、原作ほどの露出度はないものの、お美しいお肌を少しだけ見せてくれています。


 谷崎潤一郎特有の淫靡さはありませんが、原作の冒頭の場面は、時代を平成に置き換えて忠実に映像化されていました。







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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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