阪急沿線文学散歩

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琵琶湖巡りは『湖猫、波を奔る』を持って

 琵琶湖を巡るご当地小説としては、滋賀県出身の弟子吉治郎さんの『湖猫、海を奔る』がお勧めです。小説の舞台となった場所が示された琵琶湖周辺地図も巻末に掲載されています。

 テレビのプロデューサーでもある弟子吉治郎さんは、彦根東高、関西学院大を経て中部日本放送に入社、テレビ番組の制作指揮という本職のかたわら、執筆されたそうです。
 
 第一章は昭和55年、主人公の大津の坂本にる日吉大社の神官の一人娘斎木朱美と黒猫フーコのお話から始まります。

<朱美の暮らす坂本は、滋賀県大津市にある天台宗総本山比叡山延暦寺への参詣拠点として栄えた町で、今でも宿坊が軒を連ね、往時の繁華を偲ばせている。織田信長の安土築城以来、名を馳せることになった穴太衆と呼ばれる石積み職人の町でもある。一見緻密な計算なしに積んでいるように見えるが実際は堅固な穴太積みという独特の石垣が、町のあちこちに残っていて、風雅で落ち着いた雰囲気を漂わせている。>

日吉神社でも周辺でも自然石を生かした穴太積みを見ることができます。

 小学4年生になった朱美は,龍笛の魅力にとりつかれ,黒猫フーコを連れ浜大津まで出掛けて笛の練習をしています。
<母には雅楽の練習をすると言って来るのだが、実際、浜大津ではポピュラーソングを吹くことのほうが断然多かった。まだ幼女の面影を残す朱美が制服のような折り目正しい服装でポップスを吹いているのだから、朝の散歩に来る人々の中には物珍しげに立ち止まって聞き入る人も増えてきた。>

朱美が竜笛の練習をしていたのはこのあたりでしょう。
私の琵琶湖巡りもこの浜大津から始まりました。

弟子吉治郎さんは、琵琶湖の遊覧船・玻璃丸にも触れ、育った時代の背景をうまく描いてています。
<外輪船ミシガンが就航した日の浜大津の港は沸き返っていた。昭和五十七年四月二十九日に定員七八七人のミシガンが就航するまで、琵琶湖遊覧の花形は玻璃丸であった。戦争が終わったのが昭和二十年、玻璃丸が就航したのが昭和二十六年。湖国だけでなく日本全国が、今日食べる米、明日の暮らしを考えるのが精一杯の時代であった。ようやく生活が安定した高度成長時代に入ったと言われ、一部の人々が余暇だレジャーだと言い出すのは昭和三十五年、一九六〇年代に入ってからだ。>

浜大津港ではちょうど外輪船ミシガンが出航していました。





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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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