阪急沿線文学散歩

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遠藤周作『沈黙』の舞台にもなった潜伏キリシタン関連遺産が世界遺産に

 先日、ユネスコの諮問機関が、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」につき登録がふさわしい旨を勧告し、6月に開催される第42回世界遺産委員会での登録が確実になったという朗報がありました。


 遠藤周作が「心の故郷」と呼ぶ長崎、『切支丹の里』に収められた「一枚の踏絵から」の冒頭では、

<はじめて長崎の街に行ったのは格別な理由があってではなかった。もともと見知らぬ街をふらりと訪れるのが好きだったから、仕事の暇があれば汽車に乗って、あてもなく、偶然、停った駅でおりることが度々あったのである。>
と、それまではゆかりのなかった地であることを述べ、切支丹時代について特に勉強したわけでもなかったとしています。

しかし、大浦天主堂の近くの十六番館で踏絵をみつけたことから、長崎と深いかかわりを持ち、「心の故郷」と呼ぶまでになったようです。

さらに、『遠藤周作と歩く「長崎巡礼」』では、次のように述べています。
<長崎の歴史を知れば知るほど、それを学べば学ぶほど、この街の層の厚さと面白さに感嘆した。更に私の人生に問いかけてくる多くの宿題も嗅ぎとった。それらの宿題のひとつ、ひとつを解くために私は『沈黙』から今日までの小説を書いてきたと言っていい。ここ十年の間、長崎は私の心の成長に忘れることはできぬ街となった。おいしい養分を与えてくれる母胎となってしまった。>

 月刊神戸っ子2017年3月号、4月号でも2回にわたり、「神戸から行く長崎・キリシタンの里を訪ねて」として、遠藤周作の『沈黙』の舞台にもなり、今回の登録を勧告された外海・平戸を次のよう紹介しています。
https://kobecco.hpg.co.jp/9729/
< 今年、世界的映画監督であるマーティン・スコセッシの最高傑作とも評される映画『沈黙─サイレンス─』が公開され話題を集めている。その原作は、夙川カトリック教会で洗礼を受け、六甲小や灘中に通うなど、神戸や阪神間ともゆかりのある遠藤周作の小説『沈黙』だということはご存じだろう。
 舞台はキリシタン弾圧下の長崎。物語に登場する架空の村、トモギ村のモデルは西彼杵半島西岸の外海(そとめ)地域とされ、この地に遠藤周作文学館が建っている。また、長崎県北部、平戸島を中心とする平戸地域でも遠藤は取材を重ねて『沈黙』の構想を練ったといわれ、作品中にはここに伝わる祈りの歌も登場する。
 外海や平戸には迫害や弾圧の中で信仰を守り続けた人々、「潜伏キリシタン」がいた。彼らは禁教の法令に表面上は従いつつ秘密裏に信仰を続け、さらにそれを代々受け継いできた。その子孫の一部は、近代を迎え信仰の自由がもたらされてもカトリックに回帰せず、今なお独自の信仰を継続。「古キリシタン」や「かくれキリシタン」などとよばれている。遠藤に大きな示唆を与えた彼らの信仰文化はいま、世界文化遺産候補「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の重要な構成要素となっている。>

出津集落と海を望む遠藤周作文学館のテラス(月刊神戸っ子2017年4月号)

遠藤周作もきっと草葉の陰で喜んでおられることでしょう。





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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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