阪急沿線文学散歩

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遠藤周作が小説家としての鍛錬に役立ったという告白室

 遠藤周作はエッセイ集『私の愛した小説』のなかで、四十数年ぶりにカトリック夙川教会を訪れたときのことを述べています。

<ついこの間、幼なじみたちに呼ばれて、かつて少年の私がそこで何も知らずに洗礼を受けた阪急夙川の教会に行った。四十数年の歳月をへているにかかわらず、教会はもとのままで、老いたのは私や幼なじみたちだった。>

 教会の中に入り、毎週の日曜日のミサの前に告白室でさせる罪のゆるしの記憶が甦ります。当時のミサの前には、祈祷書をめくり、信者のために色々な罪をくわけして書いたページを読んで準備したそうですが、遠藤周作は子供ながらにも罪とはそんな風に分類できるほど簡単に説明できるのかという疑念を持っていたそうです。

カトリック夙川教会の告白室は、後ろの南側の隅にありました。(上の写真の右隅)

<告白室に入り、金網の向こうに耳をかたむけている仏蘭西人の老神父に「嘘をたびたび、つきました」などとその時さえ嘘を呟きながら少年の嘘にも複雑な種類があり、複雑な段階があり、複雑な因果のあることを感じ、それが言葉ではとてもいいあらわされぬことに思い至っていた。>

 数年前。私が訊ねたときは告白室の隣には、小さき花の聖テレジア像がおかれていました。

現在は聖テレジア像は祭壇奥のアルコーブに戻されています。
<してみると、あの告白室で当惑が私の小説家としての鍛錬にどれほど役立ったかわからない。>

 遠藤周作が立派な小説家になるのに、そんなに役に立っていた告白室だったなんて。
聖堂に入られる機会があれば、遠藤周作が入ったという告白室もご覧ください。




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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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