阪急沿線文学散歩

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三条杜夫『夜明けのハンター』に日本で最初の喫茶店「放香堂」が登場

 三条杜夫『夜明けのハンター 文明開化物語』はフィクションではありますが、神戸文明開化物語といったところで、様々なエピソードをうまく織り込んだ小説となっています。


 表題となっているE・H・ハンターは、明治7年に神戸にハンター商会を、明治14年には大阪で大阪鉄工所(後に日立造船に発展)を創設し、この他、煉瓦や肥料、煙草、精米、損害保険など次々に事業を起こし、範多財閥を形成し、地元有志より北野天満神社の周辺一帯3000坪の土地を譲り受け、北野の地に自らの“理想郷”をつくりました。


 ハンターは広大な敷地内に最初、日本家屋を建て、少し後に、洋館を移築しています。(洋館は昭和38年に王子公園に移築され「旧ハンター住宅」として国の重要文化財に指定されています。)
 その日本家屋に住み始めたころのハンター夫妻の様子が、『夜明けのハンター』に面白く描かれています。
<留吉が音頭を取って、一世一代の働きで竣工させてくれた新しい家の住み心地は実に良かった。居留地のハンター商会で、来客をもてなす茶は英国の紅茶と決めていたが、自宅でゆっくり過ごす時間は、日本座敷で愛子に点ててもらう抹茶がハンターの口にあった。>

 ハンターさんが抹茶が本当に好きだったかはよくわかりませんが、ここで、元町商店街の「放香堂」が登場します。
<「とってもいいお茶を放香堂で買って来ましたよ」元町商店街の茶商「放香堂」が最近、喫茶室を設けて、人気を呼んでいた。特にコフィーを店の中で飲ませ、新しもの好きの神戸っ子たちの間で評判になっており、これが後に日本初の喫茶店として評価される。店頭でも抹茶の宣伝販売を行い、通りがかった愛子が試飲して気に入り、買い求めて来たものである。茶釜でしゅんしゅんと沸き立つ湯を柄杓ですくい、抹茶碗に注いで、茶筅で抹茶をのの字に練る。こうして時折り愛子がもうけてくれる茶の湯のひと時がハンターは好きだった。>


 私も放香堂を訪ねてみました。方香堂はもちろん今でも京都府の和束町に自社茶農園を有する伝統ある茶商ですが、元町ではコーヒーも楽しめます。

店内に入ると、明治7年の店舗風景が飾られています。

また明治11年の讀賣新聞の広告記事も掲示されており、そこには「焦製飲料コフィ―:弊店にて御飲用或は粉にて御求共に御自由」と書かれています。
日本で最初の喫茶店というのも正しいようです。

今でも臼で挽いた珈琲豆を販売していました。

お店にはいったからにはと、メニューを見て放香堂石臼珈琲明治復刻ブレンドにきめました。


 ポットでいただく明治のコーヒー。正直、現代のコーヒーにはかないませんが、明治の人はこんなコフィーを楽しんでいたのだなあと思いを馳せていました。





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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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