阪急沿線文学散歩

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1980年代心に残る神戸のお店(吉田篤弘『神様のいる街』)

「神戸はどうして、これほど居心地がいいのか」と繰り返し自問していたという吉田篤弘さんは、『神様のいる街』で、神戸っ子以上に神戸通。神戸の歴史に残る名店を御存知でした。

『神様のいる街』からです。
<だから、本物もニセモノも、およそ、たいていのものは神戸で買っていた。同じものでも、東京で買うより神戸で買う方がふさわしいように思えた。食べることについても事情は同じで、何を食べてもいちいち美味しい。その秘密は神戸という街の懐の広さーではなく、程よい「狭さ」と云うべきかーによるのかもしれない。>
たしかにそのように思います。

こちらは先日私が行った三宮のビストロガニオン。このお店はエッセイにはでてきませんが、何を食べてもいちいち美味しい。

写真は前菜のタパス、いずれも満足できるお味でした。

<本を一冊買うのもまた同じで、古本は神保町でもとめたが、新刊書店に並んでいる現役の本は神戸で買うことにしていた。具体的に云うと、東京でも買える本を、元町の「海文堂書店」で買っていた。それは、そうした決まりを自分に課していたのではなく、ひとえに「海文堂書店」が、どこか古本屋のような新刊書店だったからである。本の並びの妙だった。>

海文堂は残念ながら2013年9月に閉店してしまいましたが、東京人の吉田篤弘氏もファンでした。

<そうした絶妙さを小さな店構えの棚に見つけたのではなく、「海文堂書店」という、それなりの広さを持った二階建ての新刊書店の棚から感じとった。稀有なことだった。海にほど近い場所の力もあったかもしれない。海の近くの本屋で、刷り上がったばかりのあたらしい本や、見過ごしていた本を手に入れる喜びー。>
 これを読んで、また懐かしさがこみあげて、現在どのようになっているか、元町商店街に足を運んでみると、大きなドラッグストアに変わっていました。


 他にも数々の知る人ぞ知る神戸の名店の名前が挙げられます。
<これは、通い詰めた店々に共通して云えることで、中古レコードの「ハックルベリー」も、古本の「後藤書店」も、「元町ケーキ」も「エビアン」も「明治屋神戸中央亭」も、いずれも「海側」にあった。それらの店から海が見えるわけではないが、外国の船が停泊する穏やかに晴れた海がすぐそこにあるということが、本やレコードに触れる時間や、気軽に食事をする時間を特別なものにしていた。>
吉田さんが神戸に通っていたのは1980年代のお話。

古本の「後藤書店」、モザイクにあった「明治屋神戸中央亭」は無くなりましたが、他の店は名店として現在も残っています。

 元町商店街の東側の入り口近くにある神戸最大の中古レコード店「ハックルベリー」。

2階に上がると、さすがの品揃え、価格も安く、もう一度ゆっくり見に来ることにしました。

その前にある「エビアン」。残念ながら今日は営業時間が終わっていました。

1952年に神戸で関西初のサイフォンカフェとして開店し、今でもアルコールランプのサイフォン式コーヒーが出てきます。


 吉田篤弘さんの『神様のいる街』、これほど神戸の魅力の本質を見事に綴ったエッセイは他にはないと思います。




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阪急沿線の街にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。

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